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【米の研究】真蛸と枝豆の土鍋ご飯を作ります!

真蛸と枝豆のご飯、茶碗 -料理方法の研究



前回の記事で、米と向き合い、ご飯を炊くのに最適な水、最適な鍋、土鍋ご飯の炊き方にせまりました。

【米の研究】ご飯を炊くのに最適な水?最適な鍋?最適な加熱温度と時間とは?
日本人の主食である、米。ご飯。白米。銀シャリ。日本人として最も身近な食材である米、美味しいご飯を炊くにはどうしたらよいのか。ご飯の炊き方、炊飯というものに今一度向き合っていこうと思います。 河野裕輔 お米大好きっ! ご飯の炊き方(実践と理論

今回は、前回学んだ土鍋ご飯の炊き方を活かして、炊き込みご飯を。
具材は、夏が旬の食材、真蛸と枝豆で作っていこうと思います。

河野裕輔
河野裕輔

いってみよう!やってみよう!

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真蛸と枝豆の土鍋ご飯の作り方

真蛸と枝豆の下準備をする

今回使用したのは、愛知県三河湾産の真蛸と、愛知県碧南市産の枝豆です。

真蛸、枝豆

まずは、真蛸を下準備します。
蛸の内臓、目、口を取り除きます。

蛸にはぬめりがあります。
そのぬめりを取る為に片栗粉を使います。

真蛸、片栗粉

ぬめりを取る為によく塩を使いますが、塩を使うと、塩分が蛸に入ってしまいます。
余計な塩分は入れたくない為、私は片栗粉を使います。
さらに、塩よりも片栗粉の方がぬめりが取りやすいです。
一生懸命ゴシゴシしごかなくても、ぬめりは取り除けます。
ぬめりが取り除けましたら、水洗いします。

次に、沸騰したお湯にサッとくぐらせ、氷水に落とします。
これは殺菌目的です。
そして、吸盤の中のよごれ等、細かい所のよごれを綺麗に水洗いします。

綺麗にした蛸の水気をしっかり取り除きます。
これを切っていきます。大きさは一緒に入れる具材の枝豆大の大きさに切ります。

これで、蛸の下準備は完了です。



次に枝豆の下準備をします。
枝豆の頭の方、茎につながっていた方を、ハサミで切り落とします。

その枝豆を、沸騰したお湯で、1分程茹でます。
これは、殺菌目的と、豆を取りやすくする為です。
1分茹でましたら、ザルにあけます。

枝豆、下準備

この枝豆を豆とさやに分けます。
豆には薄皮が付いていますので、これも取り除きます。
このさやと薄皮も使いますので残しておきます。

これで枝豆の下準備は完了です。

真蛸、枝豆、下準備



炊き込みご飯のだしを作る

炊き込みご飯のだしを作っていきます。
だしは過去の記事、だしと向き合う!だしに最適な水?最適な温度とは?かつお節と昆布のだしを作ってみた!
で学んだ、かつお節と昆布のだしをベースにします。

このだしに、薄口醤油と日本酒を加えて、炊き込みご飯のだしにします。
割合は、だし:薄口醤油:日本酒=15:1:1です。
分量は米1合につきだし200gです。
今回は米3合炊きますので、だしは600gです。
ただし、必要な分量より少し多めに合わせます。
ですので、だし:薄口醤油:日本酒=750g:50g:50gくらいで合わせます。

(ちなみに、私は再現性を重視する為、全ての食材、調味料をはかり、デジタルスケールで計量しますので、単位は重量を表すgで表記します。)

この炊き込みご飯のだしを必要な分量より少し多めに合わせる理由。
ここが今回の真蛸と枝豆の土鍋ご飯はもとより、いわゆる炊き込みご飯の作り方の私のコツになります。

河野裕輔
河野裕輔

こっから自分の経験による独断と偏見に基づく大事なコツ

炊き込みご飯のだしを必要な分量より少し多めに合わせる理由は、私の炊き込みご飯の作り方は、この合わせただしをそのまま、土鍋で、米、具材、と合わせて炊き始まるのではなく、
この合わせただしでまず具材を軽く煮るからです。
煮ますので、ご飯を炊く必要分量ピッタリで合わせてしまうと、火を入れた事、具材にだしが染み込む事により、だしの分量が足りなくなってしまうからです。
かといって、あまり多く合わせてしまうと余っただしは使わないので、せっかくの具材の旨味を余らせてしまう事になりますので注意が必要です。

そしてだしに具材の味を溶け出させたものを、1日冷蔵庫に置き、味をなじませます。
そうする事によって、その1日置いて具材の味が溶け込みなじんだだしでご飯を炊けるので、炊き上がりのご飯はお米にもしっかり具材の味が染み込んだものになります。
この作業をしないで、そのまま炊き始めますと、炊き上がりのご飯はお米にまで具材の味が染み込んでいない印象を受けてしまいます。

私も初めはそのまま炊き込みご飯を炊き始めていたのですが、炊き上がりのご飯を食べた時に何か物足りなさを感じてしまいました。
その後、半日程置いた炊き込みご飯を食べてみたら、今度はお米にまで味が染み込んでて美味しいと感じました。
これはどういう事かと考えました。そこでひとつ仮説を立てたのですが、
それは、炊き立ての炊き込みご飯では、お米にまで味が染み込むだけの時間が足りなかったのではないかという事です。
だからと言って、炊き込みご飯をお客さんに提供する時は、半日程置いた炊き込みご飯を提供するというわけにもいきません。
ご飯の炊き立てというのは、その言葉を聞くだけで食欲をそそられる、どうしても譲れない美味しさにつながる大事なひとつの要素なのです。
そこでどうしたものかと考えた結果が、だしに具材の味を溶け出させ、その具材の味が溶け出しただしでご飯を炊くというやり方です。

河野裕輔
河野裕輔

自分の感性を信じよう!



という事で、合わせただしで、蛸と枝豆を軽く煮ます。
枝豆のさやと薄皮にも味がありますので、一緒に煮出していきます。

真蛸、枝豆、だし煮

ここでは、火を入れる目的は無いので、強火で沸いたら火を止めます。
アクを取り除き、ボウルに移して、1日冷蔵庫に置きます。

真蛸、枝豆、だし



炊き込みご飯を炊く

だしが出来ましたので、ご飯を炊いていきます。
ご飯を炊く前に、米を水に浸漬させる必要があります。
しかし、水で米を浸漬すると、炊き込みご飯の味が薄くなってしまいますので、だしで米を浸漬させます。

真蛸、枝豆、だし、漉し器

前回の記事で学んだように、5℃で120分米をだしに浸漬させます。
この浸漬させる時に、だしは炊く時の必要量を量り、そこに米を浸漬させます。
この時にだしが余らないのが理想です。
余ったら余った分だけ、具材の旨味も余らせる事になってしまいます。
さらに、備長炭も入れて、pHをなるべくアルカリ性側に調整させます。

浸漬できましたら、だし、米、蛸と枝豆を土鍋に入れ炊いていきます。

真蛸と枝豆のご飯、炊く前

始めは中火で、酵素活性の高い温度帯(50~70℃)をゆっくり通過させ、かつ沸騰するまでの時間が10分になるように、イメージも持って火力を調整します。

土鍋、中火

沸騰前に一度強火にし、鍋内の温度を上げます。
(沸騰前に一度、手早く全体的に混ぜたいですが、具材が底に沈み、炊き上がりに蓋を開けた時の見栄えが悪くなるので省略します。
混ぜる理由は、むらができないようにする為ですが、混ぜなくても特にむらは出来ませんでしたので、省略可能と考えます。)

土鍋、強火

沸騰を確認しましたら、弱火にして15分。

土鍋、弱火

15分経ちましたら、もう一度強火にして10秒。

土鍋、強火

10秒経ちましたら、火を止めて、10分程蒸らします。

土鍋、コンロ

これで、真蛸と枝豆の土鍋ご飯の炊き上がりです。

真蛸と枝豆の土鍋炊きご飯



盛り付け

土鍋ご飯は、最初に蓋を開けた時の見栄えが、美味しさのひとつの大きな要因に思われます。
ですので、お客さんの前で蓋を開けて、見た目で楽しんでもらってから、
全体的によくかき混ぜ、温めた茶碗にふんわりよそって、おこげも少しよそって完成です。

真蛸と枝豆のご飯、茶碗



実食

河野裕輔
河野裕輔

いただきます!

まず、見た目に蛸から溶け出した小豆色がお米に染みわたり、見た目にもお米に味が染みているのが分かります。
そして、炊き立てご飯の豊潤な香り、おこげのこうばしい香り、蛸と枝豆の夏を感じさせる香りが鼻を刺激し、今にもかっ込みたい衝動に駆られてしまいます。

まずは、一口、口に入れますと、蛸と枝豆の旨味を感じ、
一回一回噛むごとに、蛸のくにゅっっとした食感、枝豆のホクホクとした食感、おこげの噛みしめる食感と、噛めば噛む度に様々な食感に見舞われ、とても楽しくなってきます。

これはまさにおかずいらずです。
かといって濃い味ではなく、だし、蛸、枝豆、米の旨味が十分引き出されている事による、満足感だと思われます。
炊き込みご飯という料理は、それだけでこの満足感を得られるという、魅惑の料理だという事が分かりました。

河野裕輔
河野裕輔

ごちそうさまでした!



まとめ

今回、前回同様、米と向き合い、その応用編として、真蛸と枝豆の土鍋ご飯を作りました。

前回、白ご飯、土鍋ご飯の炊き方の理論を学んだおかげで、自信を持ってご飯を炊く事が出来ました。
土鍋でご飯を炊くという事は、なかなか工程が細かいものですが、そのひとつひとつを理解していれば、スムーズに、意味を持って行動する事ができました。

炊き込みご飯という料理は完成されたものです。
ここから個性を出す為にはどうしたらいいのでしょうか。
そのまま炊き込みご飯として出すだけでなく、何かバリエーションを付けて、色々な形のご飯を召し上がって頂いたり、
何か考えたいです。
米料理は、やはり日本人として外したくないですし、ここに何か新しい、でも突拍子でないものを思いつければ、個性というものが出せるような気がします。

これから、「河野裕輔の料理を食べに来た」と言われるようなお店でないと、生き残っていけないでしょう。
他所で食べられる料理を出してもしょうがないです。
ただ、ここが一番難しい事だと思います。

これからは、いかに個性を出した料理を作れるかを、念頭に置いてやっていきたいと思います。



こうして、いずれ開く店への道のりが、また一歩踏み出されたのです。

河野裕輔
河野裕輔

11歩目

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