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【低温調理の研究】真鯛の最適な加熱温度と時間とは?真鯛のミキュイを作ります!

真鯛のミキュイ2-料理方法の研究



過去の記事で、低温調理と向き合い、理論を学び、

また、低温調理の実践編という事で、牛もも肉のステーキと、豚肩ロースのステーキを作りました。


今回は、肉でなく魚はどうだろうという事で、真鯛のミキュイを作っていきます。
ミキュイとは、フランス語で、(mi cuit)半ば火の通った、半生の、という意味です。

河野裕輔
河野裕輔

ボンジュール!



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真鯛のミキュイの作り方(理論編)

実際に作っていく前に、
真鯛の低温調理に最適な温度と時間を、理論をもとに導いていきます。

河野裕輔
河野裕輔

導かれよっ!



真鯛の低温調理に最適な温度と時間とは?

まず、低温調理とは、

食材の温度を低温に保ったまま、長時間かけて加熱する事で、
食材の柔らかさと水分を保つメリットがある調理法です。

さらに、

食材の温度を低温に保ったまま、長時間かけて加熱する事で、
酵素が活性する時間も長くなる事により、
肉や魚のタンパク質の分解が促進され、旨味成分が増加したり、
野菜のデンプンの分解が促進され、甘味成分が増加したり、
等のメリットも期待できます。

そして、その低温調理のメリットである食材が柔らかさと水分を保った状態というのは、
その魚のタンパク質の成分が、

ミオシンは加熱による収縮をし、柔らかな食感を生み
アクチンは加熱による収縮はせず、水分を保ち
コラーゲンは加熱による収縮をし切れて、ゼラチン質になっている

そして、それぞれの成分がこの状態になる加熱の温度と時間は、
今回は、海生生物なので、

ミオシン 40℃から変性し始める。
アクチン 60℃から変性し始める。
コラーゲン 30℃から変性し始めるが十分な時間が必要。イカ等は35℃で短時間ではゴム状になる。70℃以上数時間でゼラチン質になる。



さらにここから、肉の場合は、食材の安全性を確保する為に、厚生労働省が定めている、食品の規格基準を守り、その製造基準の中で、加熱の温度と時間に関する項目をみて、最低限の加熱の温度と時間を導いていきますが、今回の魚の低温調理は、食材の安全性を確保する為の加熱ではないので、生食できる食材を用意します。



以上を踏まえた上で、真鯛の低温調理に最適な温度と時間は、
40℃~59℃で〇〇時間
という数字しか出てきませんでした。



という事で、実践しながら、自分の好みの状態になる温度と時間を探っていきます。

河野裕輔
河野裕輔

いってみよう!やってみよう!



真鯛のミキュイの作り方(実践編)

真鯛の下準備をする

今回使用したのは、愛媛産の真鯛です。

真鯛



まずは、真鯛を3枚おろしにします。

河野裕輔
河野裕輔

さばいていくっ!



真鯛、3枚おろし



次に、真鯛を2人前くらいに切り分けます。

河野裕輔
河野裕輔

切っていくっ!

真鯛、カット



そして、切り分けた真鯛に塩を浸透させていきます。

河野裕輔
河野裕輔

浸み込ませていくっ!



真鯛の重量の0.8%の塩をまぶして、フィルム袋に入れ、
真鯛の重量の10%の太白胡麻油を入れ、真空密封し、冷蔵庫に1日置きます。

塩の浸透圧、水と油の反発作用を利用して、塩を浸透させていきます。
(塩を浸透させるイメージについて、牛もも肉のステーキの記事で述べております。)

真鯛、塩、胡麻油

冷蔵庫には水を張った容器の中に浮かべて寝かせます。
ウォーターベットに寝かせる事で、変形や腐敗を防ぎます。



真鯛を低温調理する

低温調理する為の湯煎器、BONIQ(ボニーク)を用意します。

BONIQ



先程導き出した、真鯛の低温調理に最適な温度と時間は、
40℃~59℃で〇〇時間
という数字しか出てきませんでしたので、BONIQの設定は、40℃から温度と時間をふって、真鯛の状態をみながら、自分好みの火入れにもっていきます。



まず、40℃で10分程やってみました。

しかし、あまり状態はかわりませんでした。



次に、41℃で10分程やってみました。

気持ち状態が変わりました。

ですので、そのまま湯煎し続けて自分好みの状態になるまでみていくと、もう20分たった頃に、自分好みのいい状態になりました。



ですので、真鯛の低温調理に最適な温度と時間は、その真鯛の身の厚さ等によって変わりますが、
今回は、40℃程で30分前後
という事になりました。

BONIQ、41℃



真鯛の皮を焼く

真鯛をBONIQで、41℃で30分、低温調理したものを取り出します。

真鯛、低温調理



この状態で身の火の入り具合は完成状態なのですが、皮はぶよぶよであまりよろしくありません。
ですので、皮だけ、メイラード反応によりこんがりとした焼き色と香ばしい匂いを引き起こす為に焼いていきます。

(メイラード反応について、詳しくは牛もも肉のステーキの記事をご覧下さい。)

河野裕輔
河野裕輔

香ばしさは欲しいよね!



皮だけ焼くといっても、当然その間に身にも熱が伝わって火が入ってしまうので、それを最小限にする為に、焼く前に冷蔵庫でしっかり冷やします。

河野裕輔
河野裕輔

キンキンに冷えてやがるっ!



しっかり冷やした真鯛をフライパンで皮を焼いていきます。

ただ、そのままフライパンにのせると、皮がフライパンにひっついて剥がれてしまうので、クッキングシートにのせて焼いていきます。

真鯛、フライパン



こうして焼いている間に、いくら冷蔵庫で冷やしたといっても、皮がこんがり焼ける前に、身にも熱が伝わってきているので、身に氷を当てて冷やしながら、皮を焼いていきます。

真鯛、フライパン、氷



真鯛を盛り付ける

皮が香ばしく焼け、身も温まった真鯛を1人前に切り分け、盛り付けて完成です。

河野裕輔
河野裕輔

で~きた♪できた♪できた♪できた♪ハイッ・ハイッ・ハイッ♪

真鯛、ミキュイ



実食

河野裕輔
河野裕輔

いただきます!

まず目に飛び込んでくるのが、半生状態に見てとれる身の断面です。
虹色に光り輝いて、魅惑の色を漂わせています。

そして、皮のこんがりと焼かれた色と香ばしい匂い、
身の少し焼かれた部分からの匂いは、焼魚のそれを思い起こすのですが、
見た目に半生状態に見てとれる身とのギャップに戸惑ってしまいます。

しかし、その戸惑いが逆に興味をそそり、魅了され、期待に胸を膨らませます。

戸惑いからの興味という矛盾を感じながら、口に運び、歯で咀嚼しようと顎を動かした瞬間に、
身がホロッと崩れ、とろけるような食感にみまわれます。

真鯛の生の刺身としての味わいと、焼いた焼魚としての味わいとでは、違った一面を見せてくれるものですが、
このミキュイではその両方が味わえ、それが、口の中で混ざり合う事で、真鯛の素材としての旨味を存分に味わう事ができるように思えます。

刺身とも焼魚とも言えないこの独特の食感と味わいは、ミキュイならではなのだと感じざるを得ません。

河野裕輔
河野裕輔

ごちそうさまでした!



まとめ

今回、低温調理の実践編第3弾という事で、真鯛のミキュイを作ってみました。

ただ、今回もとても美味しくできたのですが、もっと美味しくできるのではないかという気持ちが芽生えたのも事実です。

焼く工程で、身には火を入れずに皮を焼くという、矛盾極まりない事をどうやるのか。
このあたりに、もう少し改善の余地がありそうです。

やはり炭を使った火入れを取り入れるのか、
皮はもっとパリパリに焼き上げた方がいいのか、

こればかりは、魚のミキュイという料理を、色々なお店で食べて、自分の理想像をもっと明確にする必要があると感じています。

本当に、料理に対して、もっとこうしなきゃという事がありすぎて、途方に暮れてしまいますが、
すこしづつ、一歩づつ進んでいこうと思います。



こうして、いずれ開く店への道のりが、また一歩踏み出されたのです。

河野裕輔
河野裕輔

4歩目



追記 真鯛のミキュイの作り方(更新編)

まとめで取り上げた、皮をもっとパリパリ焼き上げた方がいいのかという事をやってみました。
皮は皮で火を入れて、身は身で火を入れて、それぞれ違った温度帯の完成形になるように別々の調理法で、
真鯛のミキュイを作っていきます。

真鯛は身と皮に分けます。
身は先程と同じくBOINQで41℃で30分、低温調理します。
その後、焼き加減のグラデーションを付けるように、炭火で表面から少し火が入るように焼いていきます。
皮は焼き網と焼き網で挟み縮まないようにし、炭火でパリパリになるまで焼いていきます。

真鯛皮、炙り

そうしてできたものがこちらです。

真鯛のミキュイ2

先程作ったミキュイと違い、さらに生感を味わえ、身の焼き加減のコントロールが容易になった事により、
半生加減、それによる噛み応え、食感をコントロールできるようになりました。
皮はパリパリ感を味わえ、身と皮を一緒に口に入れる事で、食感のバリエーションが豊富になりました。

このように色々な作り方を試してみて、より良いものができるようなら、他の記事でも追記して述べていきたいと思います。

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