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【砂糖の研究①】料理に最適な砂糖とは?砂糖の基礎知識を学びます!

砂糖 -料理理論の研究



砂糖は料理に甘味をもたらします。
お菓子、デザートなどに砂糖は欠かせません。

太陽の光、その光を取り込んだ植物は糖を作ります。
地球上で最初に作られるエネルギー、それが糖のようです。

全世界での砂糖の年間生産量は約1億7925万tだそうです。(2019/2020年度見込み)

ひとえに砂糖といえど、その原料、製造法や特徴によりさまざまな名称の砂糖が市場に出回っています。

その中から、料理に最適な砂糖とは、料理によっての砂糖の選び方とは、どのように選べばいいのでしょうか。

まずは、砂糖そのもののことを知らなくては、どう選べばいいのかわかりません。

ですので、砂糖の基礎知識をWikipediaや、精糖工業会、独立行政法人農畜産業振興機構のサイト、

それから砂糖について書かれている本はないかと探して出会った、
社団法人糖業協会理事の橋本仁さん、浜松医科大学名誉教授の高田明和さんが書かれた「砂糖の科学」という本。

これらをもとに砂糖の基礎知識を学びたいと思います。



https://ja.wikipedia.org/wiki/砂糖



その上で、記事を分け、別の記事で
理論的に、さまざまな種類の砂糖は何が違うのかを見極め、その違いが料理にどのような違いを生むのか、というのを考え、
料理に最適な砂糖、料理によっての砂糖の選び方、といったものに、実際にさまざまな種類の砂糖を食べ比べながら、せまりたいと思います。

河野裕輔
河野裕輔

甘~い!



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砂糖の基礎知識

砂糖の原材料

植物は空気中の二酸化炭素と根から吸い上げた水を原料に、光エネルギーを利用して糖と酸素を生成します。
生成された糖はデンプンまたは蔗糖となって植物体内に蓄えられます。

砂糖は砂糖作物として栽培される植物から工業的に精製されます。
代表的な砂糖作物としては、甘蔗(サトウキビ)、甜菜(サトウダイコン、ビート)、サトウカエデサトウヤシサトウモロコシなどがあります。

甘蔗(サトウキビ)

甘蔗は甘しゃとも呼ばれ、イネ科甘蔗属の多年生植物で、原産地はインドである。種子あるいは蔗苗から発芽し、成熟した茎には14~19%のショ糖が含まれている。甘蔗は、とうもろこしによく似た植物で、茎の太さは2.5~5㎝、高さは3m以上にもなる。甘蔗を絞った汁は、精糖以外にも利用され、その他の食品化学工業や工業用エチルアルコール(エタノール)製造用の原料になる。
甘蔗は、高温多湿を好む熱帯性植物で、北回帰線のやや北から、南回帰線あたりまでの熱帯や亜熱帯の範囲に主産地があり、年平均気温が20℃以上の暖かい地域で生育する。日本では、主に沖縄県と鹿児島県の一部(種子島以南の離島地域)で栽培されている。
生育には多量の水を必要とし、年間雨量が1200~2000㎜程度必要であるが、灌漑設備があれば雨量の少ない地域でも十分栽培が可能である。茎は竹のように木化し、節がある。節の間の茎の中心は竹のように空洞ではなく、髄になっており、糖分を含む。
光合成において飽和点が高いため、他の植物よりも多く糖質を生産できる。



甜菜(サトウダイコン、ビート)

甜菜は、ビートとも呼ばれ、形はダイコンに似ているが、植物学上ではホウレンソウと同じアカザ科に属する二年生の植物である。甘蔗が熱帯産の糖科作物であるのに対し、甜菜は甘蔗が育たない冷涼地の糖科作物として、中緯度から高緯度地域で栽培されている。原産地は西アジア地域とされているが、現在では温帯から亜寒帯を中心に栽培地域が広がっており、日本ではもっぱら北海道で栽培されている。
根茎の直径は7~12㎝、長さが15~20㎝で、重さは0.5~1㎏である。製糖用の原料となる根茎の部分には10~16%のショ糖を蓄えている。生育期間は6ヵ月で、ふつう春先(3月中旬~5月初旬)に植え付けられ、秋(10月上旬~11月中旬)に収穫される。
また、砂糖を抽出したかすはビートバルブと呼び、通常廃糖蜜と混ぜて家畜の飼料として利用されるほか、収穫時に切り捨てられた葉や茎は有機肥料としても優れた性質をもっている。廃糖蜜はそのほかにアルコール原料やイースト原料にされる。



サトウカエデ

サトウカエデはカエデ科の落葉高木で、アメリカ北東部からカナダ南西部にかけて森林を形成し、街路樹や庭園に植えられている。カナダのケベック州やアメリカのニューイングランド地方などでよく見られ、樹高が40mにもなる。葉の大きさは9~15㎝、春先に新葉になるとともに黄色い花が咲き、秋になると実をつけ、葉は黄色に変わる。
成長期の幹にデンプンを蓄えたサトウカエデは、冬眠状態から新葉を出す春の雪解けの頃になると、このデンプンを根から吸い上げた水と混ぜ、酵素の力によって甘味を帯びた樹液に変えていく。この時期に幹に3~6㎝の穴を開け、管を差し入れて樹液を採集する。この樹液は無色透明で、水分が約97%、残りの大半がショ糖で構成され、ミネラルや有機酸などが若干含まれている。ショ糖分を約2~5%含んだ樹液は、3月初旬から4月初旬までの約3~6週間にわたって採取可能で、これを煮詰めてシロップやメープルシュガーが作られる。1シーズンのうち、平均的なサトウカエデ1本から採取可能な樹液は35~50ℓで、その樹液から1~1.5ℓのメープルシロップを作ることができる。このメープルシロップを結晶化したものがメープルシュガーである。
なお、糖分がやや低いものの、日本などに自生するイタヤカエデからもメープルシュガーを作ることは可能であり、終戦直後の砂糖不足の時代に東北や北海道で製造が試みられたことがあるが、商業化ベースには乗らずに終わった。



サトウヤシ

サトウヤシはヤシ科の常緑高木で、マレーシア、インドネシアなど広く東南アジアで植栽されている。マレー半島が原産で熱帯雨林に生え、高さが12~17m、葉は大きな羽状複葉で6~7mほどになり、四方に広がっている。砂糖をとるために植えられ、大きくなると一生にただ一回開花し結実して枯死する。葉腋から円錐花序を出し、花の咲く前にこの先端を切除して樹液を集め、煮詰めて砂糖を作る。
花柄から砂糖を採取する方法は、まず未熟の花柄を2週間ほどの間毎日叩いて汁液の流れを刺激し、開花直後に花柄の付け根を切り、流れ出る汁液を集める。汁液が出なくらるまでの約7週間、1日に約2ℓの採取が可能で、汁液には15~16%のショ糖分が含まれる。熱帯性の気候から汁液が発酵しやすいため、採取後はすぐに煮詰めて濃い褐色の砂糖を作る。
この汁液を煮詰めて作られる砂糖は、ヤシ糖あるいは椀糖と呼ばれ、東南アジアで自家用に消費される。生産量のデータは詳らかではないが、カンボジアでは年間5万トンにも及ぶという統計がある。
このヤシ糖がとれるヤシ科植物には、サトウヤシ以外にオウギヤシ、クジャクヤシ、ココヤシ、ナツメヤシ、サトウナツメヤシなどがある。このうち、クジャクヤシはインド原産で、花柄からとれる汁液にはショ糖を15~16%含み、濃縮してできる黒砂糖はジャガリーと呼ばれている。



その他の原材料

砂糖がとれる植物は、そのほかに日本古代の甘味料作物として知られるブドウ科のアマズルやツタ、クロウメモドキ科のケンポナシ、イネ科植物のスイートソルガムなどがある。ツタは甘い蔦という意味で、別名アマズラともいい、古代にはこの蔓の根元を切って、甘い液を採取し濃縮して砂糖を抽出した。
また、スイートソルガムはサトウトウモロコシあるいは盧粟(ロゾク)とも呼ばれ、モロコシの一変種である。茎を圧搾して取り出した汁液には、8~14%のショ糖を含むが、還元糖やタンパク質などが多く、砂糖を結晶として取り出すのが困難である。ショ糖分を比較的多く含むのにもかかわらず、結晶として砂糖をとるときには甘蔗の半分程度しか歩留まりがない。甘蔗より寒いやせ地、湿地でもよく育つ作物であることから、一時はアメリカなどでも盛んに栽培されたが、砂糖の原料として広がらないのはこれが原因である。



砂糖の製造方法

日本では主に砂糖は甘蔗(サトウキビ)と甜菜(サトウダイコン)から作られます。
甘蔗の場合、甘蔗の栽培地にある工場で、原料糖(粗糖)を製造します。
製造した原料糖を、消費地に近い工場で精製し、精製糖を製造します。
原料糖はタイやオーストラリアなどから輸入もされています。

 
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000610.html



「白い砂糖は漂白している」は誤解です!

砂糖に関する根強い誤解として、「白い砂糖は漂白している」というものがあります。

砂糖が白いのは、砂糖以外の不純物を取り除いた結果

砂糖をつくり、精製する手法は、不純物を凝集・沈殿させ濾過するものや、活性炭などに吸着させ取り除くもので、漂白など化学的な処理を行って砂糖の物性を変化させるわけではありません。
精製糖は、色素をはじめとした砂糖以外の成分を取り除き、純粋な砂糖の結晶だけを取り出したものなのです。
純粋な砂糖の結晶は無色透明で、結晶が光を乱反射するため白く見えます。雪や氷が白く見えるのと同じです。



「白い砂糖より三温糖の方が健康に良い」は誤解です!

砂糖に関する根強い誤解として、「白い砂糖より三温糖の方が健康に良い」というものがあります。

白い砂糖と三温糖の違い

白い砂糖も三温糖も同じ精製糖であり、製造方法は同じです。工場ではグラニュー糖などの白い砂糖が先にできます。残った糖液にはまだ糖分が残っていますので、再び煮詰めて結晶を取り出す工程を繰り返します。このような工程を繰り返すうち、加熱が続くことで糖が分解し、糖液に茶色い色が付いていきます。この糖液からできるのが、三温糖です。
砂糖に含まれるミネラルという点から考えてみると、ミネラル分に当たる灰分の含有量は、グラニュー糖や上白糖が約0.01%(ほとんどゼロに近いといってよいでしょう)であるのに対し、三温糖は約0.25%ですので、三温糖がグラニュー糖などに比べミネラルを多く含んでいるのは事実です。しかし、100g中に0.25gという量を大さじ1杯(9g)中の量に直すとわずか0.02グラムにすぎません。牛乳1本(200ml)中に含まれるカルシウムが約200ミリグラム(0.2g)であることを考えると、砂糖にミネラルの摂取源としての役割を期待するよりは、野菜、果物、海藻などミネラル豊富な食品を十分摂取する方が効率的だといえます。
したがって、白い砂糖と三温糖の間で、どちらが健康に良い・悪いということはありません。


砂糖の種類

砂糖は、製造法やその特徴により名称が付けられています。
砂糖を製造法により分けると、分蜜糖(ぶんみつとう)と含蜜糖(がんみつとう)になります。

https://www.meijifm.co.jp/products/sugar/index.html



含蜜糖、分蜜糖とは?

含蜜糖(がんみつとう)

含蜜糖は糖蜜を分離せずにそのまま結晶化したもので、黒砂糖・白下糖・カソナード(赤砂糖)・和三盆・ソルガム糖、メープルシュガーなどがこれに当たる。糖蜜を分離していないため原料本来の風味が残るのが特徴である。ほとんどの精糖原料から作ることができるが、テンサイから砂糖を作る場合は高度な精製が必要なため、含蜜糖の製造は一般的ではない(不可能という訳ではない)。



分蜜糖(ぶんみつとう)

分蜜糖は、文字通り糖蜜を分離し糖分のみを精製したものである。一般的に使用される砂糖はこちらがほとんどである。まず原料からある程度の精製を行い、粗糖を作成する。粗糖は精製糖の原料であり、不純物も多くそのままでは食用に適さない。このため、生産地の近くでまず一次精製を行って粗糖を作成した後、消費地の近くで二次精製を行って、商品として流通する精製糖が作られることが多い。しかし、生産地で粗糖を経由せず直接製造する耕地白糖や、粗糖工場に精製工場を併設して産地で精製した最終製品まで製造する耕地精糖といった種類も存在する。



黒糖、赤糖、和三盆糖とは?

黒糖(こくとう)

黒砂糖または黒糖は、サトウキビの絞り汁を煮詰めて作る黒褐色の砂糖(含蜜糖)。

日本においては、消費者庁が2010年にJAS法解釈通知の「食品表示に関するQ&A」を改定して黒糖の定義を明確化し、翌2011年には再改定により黒砂糖の定義を明確化した。


義務表示事項の名称として、「黒糖」又は「黒砂糖」と表示できるものはどのようなものですか。(平成23年3月一部改正)

1、黒糖又は黒砂糖とは、さとうきびの搾り汁に中和、沈殿等による不純物の除去を行い、煮沸による濃縮を行った後、糖みつ分の分離等の加工を行わずに、冷却して製造した砂糖で、固形又は粉末状のものをいいます。
2、義務表示事項の名称は、その加工食品の一般的な名称を記載することとされているので、単に「黒糖」又は「黒砂糖」と表示できるものは、上記の定義に合致するものだけです。
3、黒糖に粗糖等を加えて加工したものについては、義務表示事項の名称を単に「黒糖」又は「黒砂糖」と表示することはできませんが、純粋な「黒糖」ではないことが分かる名称であれば、黒糖を含む文言を名称(例えば、「加工黒糖」など)として表示することは可能です。
4、また、黒糖をまったく使用していない砂糖に「○○黒糖」、「黒糖○○」、「○○黒砂糖」又は「黒砂糖○○」など黒糖(黒砂糖)を含む文言を義務表示事項の名称に記載することは、黒糖が入っているものと誤認させるため、表示できません。


義務表示事項の名称として、「黒糖」又は「黒砂糖」と表示できるものはどのようなものですか。(平成23年3月一部改正)

1、黒糖又は黒砂糖とは、さとうきびの搾り汁に中和、沈殿等による不純物の除去を行い、煮沸による濃縮を行った後、糖みつ分の分離等の加工を行わずに、冷却して製造した砂糖で、固形又は粉末状のものをいいます。
2、義務表示事項の名称は、その加工食品の一般的な名称を記載することとされているので、単に「黒糖」又は「黒砂糖」と表示できるものは、上記の定義に合致するものだけです。
3、黒糖に粗糖等を加えて加工したものについては、義務表示事項の名称を単に「黒糖」又は「黒砂糖」と表示することはできませんが、純粋な「黒糖」ではないことが分かる名称であれば、黒糖を含む文言を名称(例えば、「加工黒糖」など)として表示することは可能です。
4、また、黒糖をまったく使用していない砂糖に「○○黒糖」、「黒糖○○」、「○○黒砂糖」又は「黒砂糖○○」など黒糖(黒砂糖)を含む文言を義務表示事項の名称に記載することは、黒糖が入っているものと誤認させるため、表示できません。



赤糖(あかとう)

赤糖とは、砂糖の一種。赤褐色の塊を含む粗粉糖で、糖度が約80度の含蜜糖である。

上白糖やグラニュー糖などの精製糖と比較して精製を抑えており、さとうきびの味と独特の甘味を残している。一方、原材料である粗糖と糖蜜などの配合を調整することにより、成分や色調などをある程度は均一化できるため、規格化されている加工食品などにも広く使用され、かりんとうや黒パンなどの製菓製パンなどに昔から広く使われている。また、黒糖とは違い、産地や原材料の種類などの組み合わせによってさまざまな特徴を出すことができる。



和三盆糖(わさんぼんとう)

和三盆は、主に香川県や徳島県などの四国東部で伝統的に生産されている砂糖の一種である。
三盆の名は、「盆の上で砂糖を三度「研ぐ」」という日本で工夫された独自の精糖工程から来たもので、高級砂糖のひとつである。

日本では江戸時代に砂糖の存在が既に知られていたが、サトウキビの栽培地は南西諸島に限られており、作られる砂糖も黒砂糖が一般的であった。 やがて徳川吉宗が享保の改革において全国にサトウキビの栽培を奨励すると、高松藩が特産物創生と財源確保を目的としてこれに呼応した。その後、徳島藩でもサトウキビが育てられるようになり、領内各地で栽培できるまでなった。しかし精糖の方法については不明だったため、他国における秘伝扱いの情報を収集し、高松藩とほぼ同時期の1700年代末に精糖方法を確立させた。徳島県で生産されている和三盆を阿波和三盆糖、香川県で生産されている和三盆を讃岐和三盆糖と呼ぶ。

和三盆の原料となるサトウキビは、地元産の在来品種「竹糖(ちくとう・たけとう)」という品種が用いられる。地元では細黍(ほそきび)と呼ばれる温帯での生育に適した竹糖は、イネ科「シネンセ種」に属し、熱帯地方で一般的に栽培されるサトウキビのオフィシナルム種とは異なる栽培種である。晩秋に収穫した茎を搾って汁を出した後、石灰で中和を行い、ある程度まで精製濾過したのち結晶化させる。この結晶化させた原料糖は白下糖といい、成分的には黒砂糖とほぼ同じ含蜜糖である。 そして白下糖を盆の上で適量の水を加えて練り上げて、砂糖の粒子を細かくする「研ぎ」という作業を行った後、研いだ砂糖を麻の布に詰め「押し舟」という箱の中に入れて重石をかけ圧搾し、黒い糖蜜を抜いていく。この作業を数度繰り返し、最後に1週間ほどかけて乾燥させ完成となる。 盆の上で砂糖を3度ほど「研ぐ」ことが「和三盆」の名の由来になっているが、最近では製品の白さを求めて5回以上「研ぎ」と「押し舟」を行うことが多い。

世界にも例をみない、水で研ぐという和三盆糖精製の方法は、どのようにして発見されたかは良くわかりません。「昔、樽に入れた白下糖を運ぶおり、過って川に落とし引き上げた所、上部が水で洗われて白くなっていた。」と言う話も有りますが、物語としておくべきかも知れません。



精製糖の種類

分蜜糖に分類される精製糖は大きく、双目糖、車糖、液糖、加工糖に分類されます。



双目糖とは?

双目糖(ざらめとう)

双目糖はハードシュガーとも呼ばれ、結晶が大きく乾いてさらさらした砂糖であり、白双糖(しろざらとう)・中双糖(ちゅうざらとう)・グラニュー糖などがこれに属する。
なお、一般的には白双糖と中双糖を指してザラメという。

元々は粒の目が粗いことから「あらめ」と呼ばれ「粗目」と表記されていたが、次第に発音が訛って「ざらめ」と呼ばれるようになり「双目」と当て字されるようになった。



白双糖、中双糖、グラニュー糖とは?

白双糖(しろざらとう)

一般的な通称はザラメ糖・白ザラメ・上双糖。
粒径が1.0-3.0ミリメートル位の大粒、無色透明で光沢のある結晶をもち、無臭で淡白な甘味が特徴。 製法はグラニュー糖や氷砂糖と同じ方法で糖液を結晶させる。その粒は氷砂糖より小さいが、目ではっきり確認できる程の大きさで、平たい直方体になっている。 砂糖としての純度が極めて高く、ある程度の高温までなら透明さを保つ事から、菓子やリキュールの原料に使用されることが多い。カルメ焼きや綿菓子の材料ともなる。



中双糖(ちゅうざらとう)

一般的な通称はザラメ・黄双目・キザラ。
製法は白双糖と同じであるが、製造工程や仕上げ時に、カラメルを混入したり表面に吹き付けたりしているため、粒の色はやや黄色みを帯びている。また三温糖と似た製法を用いることで、元から黄色味を帯びたザラメを作ることもできる。
中双糖は白双糖とほぼ同じ成分だが、カラメル成分を含むことによる風味があることから、カルメ焼きなどでは欠かすことができず、カステラなどの焼き菓子でも風味付けを兼ねて使われる。また醤油との相性も良いことから、煮物や佃煮などでも用いられる。なお、ザラメがよく使われる綿菓子の場合は、カラメル成分を含む中双糖では粘度が高いため、回転窯が焦げ付く原因となりやすく、粘度が低い白双糖が好まれている。



グラニュー糖
ザラメ糖のうち、最も結晶が細かい。主成分はショ糖。「グラニュー」とは英語のgranulated(粒状にした)の転訛である。カスターシュガーまたは、角砂糖という。
世界で最も使用量の多い砂糖であり、国によっては普通「砂糖」といった場合はグラニュー糖のことである。しかし日本では上白糖の方がより一般的で、使用量も多い。 グラニュー糖は最高純度の糖液からつくられる無色結晶状の砂糖で、ショ糖純度が高く、転化糖をほとんど含まないため上白糖よりサラサラしている。また非常に溶けやすく、味にクセがないため、コーヒーや紅茶に入れ甘味料として使われることが多い。このグラニュー糖に空気を含ませ顆粒状にすると、フロストシュガーになる。フロストシュガーはグラニュー糖より溶けやすいため、ヨーグルトのような半固体状の食品の甘味付けや、製菓材料に使用される。



車糖とは?

車糖(くるまとう)

車糖はソフトシュガーとも呼ばれ、結晶が小さくしっとりとした手触りのある砂糖で、上白糖・三温糖などがこれに属する。

車糖の名前の由来は、専修大学の社会科学研究所月報、2012 年度春季実態調査(愛媛・徳島)特集号にある、佐藤康一郎さんの「工芸農産物の商品学的アプローチ ―阿波和三盆糖を中心に―」にて述べられている。

車糖はソフトシュガーと呼ばれる。語源は、明治初期に香港から輸入された砂糖が、蒸気機関を利用して製造されており、「香港車糖」や「火車糖」などと呼ばれていたことに由来する。



上白糖、三温糖とは?

上白糖

上白糖とは、ショ糖を主成分とし、水分と転化糖(ブドウ糖と果糖の混合物)をそれぞれ1%程度含んだ結晶状の白い甘味料である。日本においては、いわゆる普通の「砂糖」のことであり、日本で最も使用量が多い天然甘味料である。
上白糖は、ショ糖にビスコと呼ばれる転化糖液をふりかけて製造される。このため表面に水分が保持され、しっとりとした感触をもつ。甘味料としての特徴は、1.3%程度の転化糖が含まれているため、グラニュー糖に比べ甘みが強くコクがある。また、転化糖が含まれる影響で、アミノ酸存在下での加熱時にはグラニュー糖に比較してメイラード反応が起きやすく焦げ色が着きやすい。このため、焼き菓子には上白糖ではなくグラニュー糖が推奨される。
なお、世界的には「砂糖」と言えばグラニュー糖を指すのが普通であり、転化糖を加えた砂糖を一般的に利用しているのは、アジアの一部の地域に限定される。上白糖は、ほぼ日本のみで利用されていると考えてよい。

上白糖の名前の由来は、江戸時代の砂糖の等級「上・白砂糖」であると言われている。江戸時代、砂糖は「中・白砂糖」を基準とし、それより色や香りなどが優れているものが「上・白砂糖」、下回るものが「次白」「下白」などに区分され、取引されていた。



三温糖

三温糖は、遠心分離した糖液をさらに繰り返し煮詰めて結晶として取り出した日本特有の砂糖。
砂糖の製造工程では、糖液の遠心分離により、まず上白糖やグラニュー糖などが結晶として取り出される。しかし、遠心分離後の残った糖液にも糖分は残されており、これを結晶として取り出すために再加熱を繰り返してできたものが三温糖である。この結晶させる度に再三再四、糖蜜を加熱していることが「三温」という名の由来になっている。一部の製品では上白糖にカラメル色素を添加したものがある。

温という漢字が用いられている理由は、1922年(大正11年)の東京朝日新聞の記事「砂糖の話」にて述べている。

三温四温などという言葉は香港支那から台湾に来て、日本にそのまま用いられるのだが、温は釜も意味し、数字は釜で煮沸する度数を示している。



転化糖とは?

転化糖

ショ糖の加水分解を転化と呼び、ショ糖の転化によってできるブドウ糖と果糖の等量混合物のことを転化糖という。右旋性のショ糖を加水分解すると、生じる果糖の左旋性のほうがブドウ糖の右旋性より強いので、混合物の旋光度は左旋性となる。旋光性が右から左に転じた糖の意味からこのように呼ばれる。ショ糖は還元性をもっていないが,転化糖は還元性を示す。



なぜ上白糖は日本のみで利用されているのか?

なぜ、上白糖は日本のみで利用されているのでしょうか。
そもそも、なぜ、双目糖(白双糖、中双糖、グラニュー糖)があるにも関わらず、車糖(上白糖、三温糖)が作られたのでしょうか。

実は、上白糖や三温糖があるのは、日本の他にオランダにもあるようです。
上白糖や三温糖の疑問の解決への糸口は、そのオランダでの砂糖の歴史にあるようです。

上白糖ーオランダと日本の関係について。上白糖は、日本では広く認知され、よく使われているが、実は、他国にはほとんど存在していないのだ。日本では「白いグラニュー糖や上白糖よりも、三温糖は自然の色に近いので、白い砂糖よりも体にいい」という誤った認識をされていることが多いような気がする。
日本以外の他の国ではない上白糖や三温糖が、実は、オランダでも広く一般的に使われている。オランダでは、Basterdsuikerと呼ばれており、オランダの伝統料理(特にスイーツ)にも多用されており、色も3種類ある。日本語では、単に黒砂糖と訳されているが、黒砂糖とは製法が全く違う。
Basterdsuiker(=上白糖、三温糖)の製造工程は、結晶と分離させたグルコースとフルクトースを等量に配合している。そして最後に、上白糖に温めた砂糖/カラメルを添加し、結晶化させる。その結晶の加熱回数が増すほど、色は濃くなっていき、加熱回数の少ない順に、白、黄、茶となる。
白い砂糖があるのにもかかわらず、なぜBasterdsuiker(=上白糖、三温糖)を作ったのか?そこには典型的なオランダの顔が見えてくる。17世紀初め、アムステルダムは世界における砂糖の精製を担っていた。「質のいいBasterdを作る人は、すばらしいマスターだ」と言われていた。
17世紀初頭の技術では、Basterdsuiker(=上白糖、三温糖)を製造するのは困難だったそうだ。当時のオランダの砂糖は、スクロースの配合量に応じて、税金を支払う義務があった。スクロースの含有量が少ないと、税金も少なくなるので、Basterdsuikerは広く普及していった。
とりわけ、オランダの製菓産業は砂糖の価格にシビアだった。彼らは原価をなるべく押さえて、手頃な価格で販売できるお菓子を作りたかったが、それには高価なグラニュー糖は使えなかった。こういった理由から、Basterdsuiker(=上白糖、三温糖)を使いはじめたのがはじまりだったそうだ。
しかし、驚くことが起こった。スクロースの含有量が多いグラニュー糖よりも、この安価なBasterdsuiker(=上白糖、三温糖)のほうが、結果的によりよい品質のおいしいお菓子が作れたそうだ。それから、オランダの製菓産業は大きな飛躍を遂げることとなる。まさに怪我の功名とはこのこと。
焼き菓子で決め手となるのは、味、溶解度、鮮度、色とされており、当時のオランダの菓子職人たちは、焼き菓子を芸術作品として見なしていた。 特に色は重要な役割を果たしており、Basterdsuiker(=上白糖、三温糖)を使用しない焼き菓子は「死んでいる焼き菓子」と言われていたそうだ。
日本の上白糖や三温糖の製法は、オランダに由来する技術だった。当時のオランダでは、Basterdsuiker(=上白糖、三温糖)の需要は拡大した。特にパンとお菓子は、Basterdsuikerなしで作ることが出来ないといわれてきたので、現在もオランダではこの砂糖が広く使われている。

このように作られた上白糖や三温糖が日本に伝わり、その上白糖の特徴である、甘みの強さや、しっとりとした風合いが日本人の好みに合ったと言われています。



液糖とは?

液糖

液糖には、品質がグラニュー糖や上白糖なみの上物液糖と、三温糖やそれ以下の品質である裾物液糖がある。また、上物液糖には、グラニュー糖や上白糖を溶解、あるいは精糖工程で結晶缶に入れる前のファインリカーをさらに精製して製造したショ糖型と、グラニュー糖や上白糖の溶解液あるいはファインリカーを酸や酵素で加水分解して製造した転化型がある。
上物液糖は、加工食品向けとして、主に各種の飲料に広く使われている。
裾物液糖は、品質は種々多様で、ユーザーの要求に応じて品質の異なる多くの製品が製造されており、ソースなどの原料として広く使われている。



加工糖とは?

加工糖

加工糖は、精製糖は甜菜白糖などの双目糖を原にして製造される特色のある砂糖で、氷砂糖、粉砂糖、角砂糖、顆粒状糖などがある。



砂糖の成分

砂糖の成分、栄養成分、化学組成といったものをみてみます。

様々な食品の成分表は、文部科学省のサイトで、「日本食品標準成分表」として公表されています。
砂糖は「砂糖及び甘味類」にて公表されています。

砂糖の成分表をみてみると、全ての砂糖の主な成分は炭水化物で、黒砂糖や和三盆糖といった含蜜糖には、ミネラル成分も含まれています。
双目糖、車糖、加工糖といった分蜜糖では、三温糖に極僅かなミネラル成分が含まれていますが、100g当たり98.7~100gを炭水化物が占めています。
液糖は、100g当たり70~79.3gが炭水化物となっていますが、それ以外の成分が水分となっています。



そもそも炭水化物とは?

炭水化物または糖質は、単糖を構成成分とする有機化合物の総称である。非常に多様な種類があり、天然に存在する有機化合物の中で量が最も多い。有機栄養素のうち炭水化物、たんぱく質、脂肪は、多くの生物種で栄養素であり、「三大栄養素」とも呼ばれている。
栄養学上は炭水化物は糖質と食物繊維の総称として扱われており、消化酵素では分解できずエネルギー源にはなりにくい食物繊維を除いたものを糖質と呼んでいる。三大栄養素のひとつとして炭水化物の語を用いるときは、主に糖質を指す。

砂糖には食物繊維が含まれていないので、砂糖の炭水化物のそのほぼ全てが糖質といえます。



砂糖は、物質としては糖の結晶で、一般に多用される白砂糖の主成分はスクロース(蔗糖)で、これはグルコース(葡萄糖)とフルクトース(果糖)の両方で構成されています。

下に示した砂糖の成分表をご覧下さい。
一番左に書かれている「蔗糖」が砂糖の甘味成分に当たるものです。次にある「転化糖」とは、蔗糖の加水分解によってできた葡萄糖と果糖のことで、「灰分」はいわゆるミネラル分です。
黒砂糖を除けば、どの砂糖も蔗糖分は95%を超えていますが、中でも、白双糖とグラニュー糖の蔗糖分がほぼ100%に近いことが分かります。つまり、白双糖やグラニュー糖は「純度が高い」、「高純度である」ということになるわけです。逆に、上白糖や三温糖は蔗糖分がやや低いことが分かります。

  蔗糖  転化糖  灰分  水分  色 
白双糖99.950.010.010.01白 色
中双糖99.700.050.030.03黄褐色
グラニュー糖99.950.010.010.02白 色
上 白 糖97.801.300.020.80白 色
三 温 糖95.402.100.221.20黄褐色
角 砂 糖99.800.010.010.15白 色
氷 砂 糖99.800.060.010.06白 色
粉 砂 糖99.800.020.010.02白 色
顆粒状糖99.800.010.020.02白 色
原 料 糖97.700.700.450.50黄褐色
黒 砂 糖75~862.0~7.01.3~1.65.0~8.0黒褐色

砂糖においても、グラニュー糖や白双糖のように純度の高いものは蔗糖そのものの甘味ですが、転化糖は、蔗糖より少し甘味が強いと言われていますし、蔗糖が熱分解することにより生じる着色物質(いわゆるカラメル)は、それそのものが甘い風味を呈します。また、少量の無機質分が含まれている場合、それが刺激となって甘さが強まります。
家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、蔗糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコ)を少量ふりかけてあります。また、三温糖は上白糖同様に転化糖液をふりかけてある上に、カラメルによる甘い風味も有しています。ですから、グラニュー糖より、感じる甘さとしては強く感じられます。
黒砂糖は純度が低く、蔗糖分は他の砂糖に比べて少ないですが、転化糖や無機質等の非糖分が多いため、コクのある強い甘味を有しています。




糖類の甘味度

一口に「甘味料」といっても、さまざまな種類があり、それぞれ特性をもっています。
これらを結びつける共通項はまさに「甘い」ということですが、この甘さの強さや味質には違いがあります。

甘味料の甘味の強さを評価したものを 「甘味度 (かんみど)」 といいます。
一般的には、純蔗糖 (砂糖) 溶液と比較した値で表わされます。
この評価は、パネラー (被験者) による 「官能検査」 により、甘味を感じる最小の濃度 (閾値) の比較、または一定濃度の蔗糖溶液 (例えば10%溶液) と同じ甘味の強さを示す被験甘味料の濃度の比較で行われます。
検査時の条件の違いにより甘味度の値には幅が出てきますので各種条件の設定には充分な注意が必要です。
蔗糖を1.00とした場合の主な甘味料の甘味度は、以下の表の通りです。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は kanmiryo_hyo.jpg です
https://sugar.alic.go.jp/tisiki/ti_0109.htm



温度が甘味度に及ぼす影響

糖類の甘味度は、温度の影響で変化します。
温度に対する甘味度の変化をショ糖100として示すと、フルクトース(果糖)は低い温度で甘味を強く感じるが、温度の上昇とともに甘味度は急激に減少します。
一方、グルコース(葡萄糖)、マルトース(麦芽糖)、ガラクトース(脳糖)などもフルクトースほどではないが、高い温度ほど甘味度は減少します。

分子構造が甘味度に及ぼす影響

ブドウ糖と果糖は、分子構造上、α型とβ型というものがあり (異性体という)、実は、この構造の違いによって甘さも違います。
ブドウ糖の場合、α型の方がβ型より甘く、その強さは約1.5倍と言われています。逆に、果糖の場合は、β型の方がα型より甘く、その強さは約3倍と言われています。
この両型の比率は、水溶液中でゆっくりと変化し、それに応じて甘味も変化します。特に、果糖は温度による影響を受け、低温ではβ型だったものが、高温ではα型になり、甘味も減少します。
砂糖 (ショ糖) は、ブドウ糖と果糖が1分子ずつ結合したものであるので、この中でも甘味の強いα-ブドウ糖とβ-果糖の分子が結合することにより、甘味も強く、また、両分子が結合することにより、ブドウ糖や果糖のような異性体はできず、温度による甘味の変化もなくなります。このことが、砂糖が安定した甘味を持ち、調理や菓子作りに適している、という理由なのです。
また、糖は二糖類、三糖類、四糖類…と単糖類の結合数が増えるにつれて甘味が減少します。デンプンなどの多糖類になると、甘味はなくなるのです。


ヒトの感覚が甘味度に及ぼす影響

甘味物質を口に含んだとき、ただちに甘さを感じる物質や徐々に甘さが増す物質、また口に含むや否や甘さを感じ、すぐに消えてしまう物質、なかなか甘さが消えない物質など種々あり、甘味に対するヒトの感受性は甘味物質により異なります。
ショ糖、果糖、ブドウ糖における甘味に対するヒトの感受性を見ると、甘味の発現は果糖が最初であり、甘味の消失も3種の糖類の中で果糖が最も速く、反対にブドウ糖は、3種の糖類の中で甘味の発現、あるいは消失も最も遅く、ショ糖はその中間にあります。




砂糖の特性

砂糖は単に食品に甘味をつけるためだけではなく、多くの機能性があり、それらを活かした様々な用途に利用されています。

砂糖の特性

・ペクチンのゼリー化

・防腐性

・デンプンの老化防止

・タンパク質の熱凝固性の改善

・褐変性(カラメル化、メイラード反応)

・親水性(脱水性、保水性)

・発酵促進



・ペクチンのゼリー化

イチゴや柑橘類のジャムを作る際に砂糖を加えるのは、甘味を付与するほかに、ゼリー化してジャム状にするためである。ペクチンのゼリー化は、ペクチンのカルボキシル基や水酸基の間で水素結合を生じてカルボキシル基の解離を抑え、ペクチンの溶解が電気的に中性になる働きによる、このとき、添加した酸はペクチンのカルボキシル基の解離を抑え、添加した糖はカルボキシル基や水酸基の間で水素結合を生じさせる水分を適量に保つ保水剤として働く。
ペクチンゼリーでは、砂糖量が65%前後で硬くなり、これ以上の濃度、あるいはこれ以下の濃度でも軟らかくなる。さらに、ペクチンゼリーでは酸でpHを下げる必要があり、砂糖液65%のペクチン溶液では、pH3.3付近でゼリー化が始まり、pH3.2~3.3で最高の硬さとなる。一般的に果実や果汁に砂糖を加えて煮詰めたとき、砂糖50~60%、ペクチン0.25~1.0%、pH2.8~3.4の範囲になると、ゼリー化が起こる。



・防腐性

保存中の食品は、防腐性を高めるために、水分、pH、温度などをコントロールして微生物の繁殖を抑える必要があるが、このとき、微生物の繁殖の難易を見分ける指標として水分活性が用いられている。
水分活性を低下させるには、自由水の含量を減少させる必要があるが、その最も有効な方法は乾燥である。しかし、ほとんどの食品はその形態をとどめたままで保管・保蔵しておく必要があるので、水分活性を低下させる方法として、食品中に砂糖などを加えて自由水の存在量を減少させる。
砂糖液は濃度が高くなるにつれて水分活性が低下し、飽和溶液では水分活性が0.85となる。果物や野菜の糖漬、ジャム、ママレード、羊羹、餡など砂糖を多く含む食品が防腐性が高いのは、砂糖のこのような働きに起因することによる。



・デンプンの老化防止

デンプンの老化は、イオンの存在や糖類、脂肪酸エステルなどの添加によって形成を遅らせることができる。砂糖もまた、多量に添加することによりα-化したデンプン中の水分を奪い、α–デンプンを乾燥状態に保つことにより、デンプンの老化を遅らせることが知られている。
たとえば、しん粉(うるち米粉)に上白糖を添加して、団子を作って経時変化を調べたところ、上白糖の添加量の多いものほど硬くならなかった。また酒もと饅頭の表皮の硬化について、グラニュー糖を添加してその効果を調べたところ、饅頭皮は、グラニュー糖の添加量が増加するほど、硬化が遅れることが認められた。このように、砂糖の添加がデンプン(α-デンプン)の老化を抑制することは明らかであるが、老化を防ぐ詳しい機構については、まだ明らかではない。



・タンパク質の熱凝固性の改善

加熱による変性は吸熱反応で、タンパク質の凝固(ゲル化)の原因となり、この現象を熱凝固性と呼ぶ。タンパク質の熱凝固性に関しては、砂糖などを添加すると、凝固温度や凝固状態に影響を与える。
卵白の凝固温度は、卵白を構成するタンパク質により異なる。通常、卵白自体は55℃くらいから変性が始まり、67℃で凝固が完了する。そして、卵タンパク質の濃度が減少するほど凝固しにくくなり、凝固温度も高くなる。また、卵液に砂糖を加えると、卵タンパク質の凝固温度が上昇する。砂糖の添加量を増やすと、さらに凝固温度が上昇して、軟らかいゲル状になる。
卵液の凝固温度と加熱時間、および砂糖の濃度の関係について見ると、卵白は、砂糖の濃度を0%、20%、40%と増やすと、凝固温度が約3℃ずつ上昇し、凝固の開始時間もそれに応じて長くなる。このことは、砂糖が加熱中のタンパク質の分子がほぐれるのを抑制し、卵アルブミン(タンパク質)の変性を抑えるためと考えられている。そして、砂糖が卵の凝固温度を高めることは、泡雪かんの製造時に、卵白を泡立てて砂糖を加えておくと熱い寒天液を加えても変性を起こさないことによっても実証されている。また、砂糖の濃度が高くなるほど、卵白ゲルが軟らかくなる。



・褐変性

生鮮食品や加工食品は、貯蔵や調理・加工により黄色または褐色を帯びてくることが多いが、この現象を褐変といい、この一連の変化を褐変現象あるいは褐変反応と呼んでいる。
褐変には、酵素的褐変と非酵素的褐変がある。酵素的褐変には、たとえばリンゴの切片を空気中に放置しておくと、ポリフェノール(クロロゲン酸)にポリフェノール酸化酵素が作用して褐変物質を生じて、切片面が茶色に変色したりする現象がある。一方、非酵素的褐変には、カラメル化やメイラード反応がある。パン、練乳、または粉乳、白色魚肉、果汁などに見られ、糖とアミノ酸、あるいは有機窒素化合鬱との反応により褐変する現象はメイラード反応で、糖のみ加熱し熱分解により起こる褐変はカラメル化である。
ショ糖の結晶を空気雰囲気下に長時間放置しておくと、薄茶色から着色、やがては薄褐色となるが、この現象は典型的な非酵素的褐変の反応である。結晶状の糖の褐変について温度との関係を見ると、ショ糖(グラニュー糖)とブドウ糖では、55℃までは着色もほとんどなく安定しているが、果糖は蔗糖やブドウ糖に比べ褐色の程度が明らかに高くなる。さらに、温度を上昇させたり、加熱時間を長くすると、ショ糖、ブドウ糖、果糖、の色調の違いは大きくなる。このことは、カルボニル基やアルデヒド基が遊離の状態にある還元糖と、カルボニル基とアルデヒド基がグリコシド結合により塞がった状態にあるショ糖では、明らかに遊離の状態にある還元糖の方が褐変は速く進行することを示している。他方、ショ糖の中でも、グラニュー糖と上白糖では、上白糖の方がより多く還元糖を含むため、褐変は速く進行する。



・カラメル化

ショ糖を加熱していくと分解が起こり、転化糖が生成する。さらに加熱を続けると、脱水縮合反応など複雑な反応が入り交じり、茶褐色に変化していく、この反応をカラメル化という。ショ糖の水溶液では、煮詰めていくと、100℃以上で徐々に泡立ち、120℃付近から粘性が現れる。その後、140℃辺りから徐々に黄色になり、さらに加熱すると褐色に変化し、200℃以上で炭化する。また、これらの各温度にショ糖液が達した後すぐに冷却すると、蔗糖加熱物は115℃付近まででは水に溶解するが、それ以上の温度では玉になり始め、温度の上昇に伴い硬い玉となる。水中の撹拌を長時間続けると、これらの玉も水に徐々に溶解してくる。140~160℃付近では蔗糖加熱物は飴状となって糸を引くようになり、180℃辺りから再度固まらなくなり、ショ糖加熱物は水に溶ける。この段階の褐色状態のものをカラメルと呼ぶ。
カラメル化反応では、反応の進行とともに、生成過程は明らかになっていないが、香気を伴う揮発性物質も生成する。



・メイラード反応

メイラード反応と呼ばれるアミノ-カルボニル反応はカルメル化と同様に、食品の調理・加工や貯蔵時に起こり、褐変による着色以外にも、香気成分や抗酸化性化合物の生成に関与する。さらに、砂糖を長期間放置しておくと、黄色から茶色に変色してくるが、これは、熱分解による褐変以外にも、メイラード反応が常温でもゆっくりと進行することに起因する現象でもある。また、砂糖を使った漬物なども時間とともに変色してくるが、この現象もメイラード反応に起因している、一方、味噌、醤油、ビール、乳製品、肉製品などの加工には、このメイラード反応が利用されている。
メイラード反応が起こると、香気成分が生成するが、還元糖やアミノ酸の種類、反応条件の違いで異なった成分や異なった臭気が生成してくる。



・親水性

食品の調理や加工において、砂糖はその食品中の水を奪い取ったり(脱水性)、あるいは保持したり(保水性)と、様々な働きがあるが、これらの基本は、分子内に水分子と結合しやすい水酸基を多数もつ砂糖の親水性にある。この親水基の働きは、食品のテクスチャーを保ったり、泡立ちを保持したりするときに関与する。
練り羊羹が長期間、軟らかい状態で保たれるのは、砂糖が水分を保持し、乾燥を防ぐことによる。また、カステラや求肥を使った和菓子など、砂糖を使ったデンプンを主成分とする食品が長期間、硬くならず、風味も劣化しないのは、砂糖の保水性による。また、ゼリーを長期間放置すると、離水という現象が生じ、テクスチャーが悪化するが、砂糖をたくさん含むゼリーは離水が生じにくくなる。さらに、メレンゲやアイスクリーム、マシュマロのような泡を固定する調理では、泡を形成するタンパク質の水分を砂糖が奪い取ることで、泡同士のくっつきを抑え、きめの細かい泡の状態を保つことができる。この2つの現象も砂糖の保水性によるものである。



・発酵促進

パンを作るとき、パン生地に炭素源として砂糖を加えると、イーストの働きが増し、パン生地の膨化が促進される。パン生地の熟成初期には、イーストの栄養源となる糖が少ないために、砂糖を加えてイーストの増殖を促進させるためである。菓子パンなどでは、パン生地に粉当たり10%以上砂糖を加えると発酵時間を長くすることができ、膨化を十分に行うことが可能になる。



砂糖と健康

砂糖と健康について、砂糖と健康に関する誤解が巷に蔓延しています。
今回の記事で参考にしている本「砂糖の科学」では、さまざまな砂糖と健康に関する誤解を検証しています。



砂糖が肥満に及ぼす影響

「砂糖、すなわちあまいものを摂取すると肥満や生活習慣病になる」という誤解が巷に蔓延しています。

イギリスのBolton-Smithらは、砂糖をエネルギー源として多く摂取している人と、脂肪を相対的に多く摂取している人の肥満度を調べた。すると砂糖摂取の量が多い分画の人は肥満が少なく、脂肪摂取の多い分画の人は肥満が多いことがわかった。つまり砂糖摂取は肥満を起こさないといえる。
さらに、イギリスでも肥満者は急増しているが、摂取カロリー量も脂肪摂取量も減っていることから、テレビを見る時間や自動車の保有数の増加にみられる運動量の減少の方が肥満の原因として大きいという議論もある。さらに、日本においては肥満は増しているとされるが、砂糖消費量は(供給ベースで)減少し続けており、さらに炭水化物の摂取量もこの25年間で18%も減少している。それにもかかわらず肥満が増えているなら、肥満と砂糖や甘いものの摂取とは直接の因果関係はないといえよう。



砂糖が糖尿病に及ぼす影響

現在、日本では糖尿病の患者は急速に増えています。
厚生労働省の統計では、糖尿病を強く疑わせる人は700万人を超え、可能性を否定できないという人は900万人いるとされています。

糖尿病も肥満が原因ではなく、肥満にさせる生活習慣に問題があるという考え方が最近出されている。たとえば運動をしない、NEAT(non-exercise activity thermogenesis;運動によらない活動による熱発生)によるカロリー消費が少ないと肥満になることも示されている。
実際、運動は糖尿病の危険率を下げるという報告は多い。Weiらは運動の程度と糖尿病の発症率の間の関係を調べ、運動の量が多いと糖尿病の危険率は非常に低くなることを示した。



砂糖が記憶に及ぼす影響

砂糖のもつ甘さの脳に及ぼす作用があります。
これは砂糖摂取が脳内のドーパミンやオピオイドの分泌を促し、快感や意欲を増加させることが大きく関係します。

動物、ヒトでも脳の活動を脳血流の増加、酵素の消費、ブドウ糖の取り込みで調べています。
それは脳がエネルギー源として葡萄糖以外を使うことができないからです。

ブドウ糖投与の記憶に及ぼす影響については、たとえばTならTから始まる言葉を1分間に何語思い出せるか、あるいは物語を読んで聞かせて、その内容をどのくらい覚えているかといったことが調べられている。すると、葡萄糖投与群が常にこれらの記憶が優れていることがわかった。また記憶の程度は血糖値に比例し、血糖値の高い者ほど記憶が良かった。
このような記憶への葡萄糖の影響は高齢者についても調べられている。アルツハイマー病の患者に葡萄糖またはサッカリンを投与し、記憶の改善への影響を調べた結果、葡萄糖投与は言語の記憶に著効を呈した。最も改善したのは文章の記憶であるが、顔の記憶などへの効果は少なかった。同じような傾向は大学生を対象にした調査でも見られた。ブドウ糖投与とサッカリン投与を比較すると、ブドウ糖を投与された群は言語の記憶が著しく改善したが、顔の記憶などの改善は少なかった。
では、記憶にブドウ糖が重要な役割を果たすということを示す脳内変化の研究はあるのだろうか。Goldらはブドウ糖を投与した場合の、迷路実験をしているラットの海馬のブドウ糖量の変化を調べた。また、迷路でテストをされ、海馬の活動が著しく高まっている場合、迷路テストをしていないラットに比べ、海馬のブドウ糖量は非常に低下していたことがわかった。さらに、ブドウ糖投与のラットと生理的食塩水投与のラットを比較すると、迷路テスト中の海馬のブドウ糖量はブドウ糖投与群の方が高かった。これらのことは、記憶の神経活動の際にブドウ糖が使われること、さらにブドウ糖の投与は記憶の神経細胞の周囲のブドウ糖量の低下を防いでいることを示している。



砂糖がうつ病に及ぼす影響

現在うつ病の人に用いられる抗うつ剤の主なものはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)といいます。
うつ病の人はセロトニンの量が少ないとされています。
そこで、薬としては、シナプス間隙に放出されたセロトニンが再度もとの神経末端に取り込まれるのを防ぎ、長くシナプス間隙に存在し、受容体を刺激し続けるようにさせるものが用いられます。
普通は再取り込みされた後に再利用される場合もありますが、多くはMAO(モノアミン酸化酵素)で分解されます。
MAOを抑える薬も抗うつ剤として使用されています。

一般に、SSRIは「脳内のセロトニンを増やす薬」といわれていますが、決してセロトニンを増やすのではなく、セロトニンを再利用をさせるものです。
セロトニンはトリプトファンというアミノ酸からしかできません。
トリプトファンは必須アミノ酸で、私たちの体では作られません。
食べ物として摂る必要があります。

トリプトファンが血管内から脳内に取り込まれるには、インスリンが必要ということがわかっている。インスリンはブドウ糖摂取で分泌されるから、糖分、砂糖などを一緒に摂ることが必要なのである。じつは脳にトリプトファンを運ぶ輸送体はトリプトファンだけでなく、長鎖中性アミノ酸といわれる、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン、チロシンも利用している。血中にはこれらのアミノ酸が多いので、輸送体は長鎖中性アミノ酸により使われてしまう。ところがインスリンがあると、これらの長鎖中性アミノ酸は筋肉などに運ばれ、トリプトファンが残るので、今度はトリプトファンが容易に脳内に入ることができるのだ。
トリプトファンは脳内でセロトニンに変わる。セロトニンは精神の安定をもたらし、心を癒す脳内物質である。トリプトファンの脳内への取り込みを促進する、すなわちセロトニンの量を増加させるという観点からも、ブドウ糖やストレスに坑して精神的安定を得るのに必要な食べ物だということがわかる。



砂糖が行動異常に及ぼす影響

砂糖の摂取がいわゆる「切れる」子どもを作り出すという話が世間の関心を引いたことがあります。
これは砂糖の摂取が急速に血糖値を高めるために、インスリンの分泌を早め、その結果血糖値が下がる、そのために脳に必要なブドウ糖の供給が少なくなるために、行動の異常が起こるというものであります。

誤解の一つは砂糖が血糖値を異常に高めるという点である。しかし、食後の血糖値の上昇を示すグリセミックインデックスを調べると、砂糖はそれほど高いインデックスをもっていない。それは砂糖がブドウ糖と果糖からなり、果糖は細胞内でブドウ糖と同じように代謝されるにすぎないからである。
次に、低血糖のときの症状は「切れる」症状とは異なる。低血糖になると、気分が悪くなり、冷や汗が出る、あくびが出る、意識が朦朧とするなどといった症状が続き、さらに、血糖値が下がると意識を失う。ここには「切れる」という症状は出ないのである。さらに、糖尿病の耐糖試験の際には75gのブドウ糖が投与される。これは今まで何万人という人に試みられている検査であるが、これにより「切れる」症状を出した人は報告されていない。
このように考えると、砂糖摂取の結果、「切れる」というような行動異常を起こすことはないと考えられる。



砂糖が筋肉に及ぼす影響

筋肉繊維は、毎回のスポーツ・トレーニングによって微細な断裂を発生させる。その修復をスピーディーに進めることは、次のトレーニングを充実した内容にするために必須である。筋肉細胞膜にも損傷が生じるため、細胞内の各種タンパク質が血液に漏出してしまう。それらは酵素の貯蔵体であるミオグロビンや、エネルギー代謝系の酵素群などである。これらのタンパク質を早急に再合成・補充することは、次のトレーニングの有酸素エネルギー代謝能を高く維持するために必要である。また、赤血球はトレーニング中に破壊されて減少するので、スタミナ低下を起こさないために、骨髄における造血を促してヘモグロビン合成を活性化しなければならない。骨、腱、靭帯のタンパク質であるコラーゲンの分解がランニングなどによって高まるので、コラーゲン合成を活性化して骨量と骨強度を高く維持し、骨、腱、靭帯の剥離などの事故を起こさないように努力する必要がある。これらの障害が発生するとトレーニング計画の変更に終わらず、最悪の場合には選手生命を絶たれることもある。したがって、トレーニング終了後には体タンパク質合成を活性化して、筋肉組織のダメージの修復を急ぎ、消耗・漏出した物質を再合成・再補充しなければならない。そのためには、基本的にトレーニング終了直後など、できるだけ早いタイミングで、インスリン分泌刺激性の砂糖のような糖分とタンパク質を合わせて摂取するのが効果的である。



砂糖が虫歯に及ぼす影響

虫歯は、歯の表面に蓄積した歯垢中の細菌によって糖が代謝され、産生された有機酸によって歯の硬組織の構成体であるハイドロキアパタイトの結晶構造が破壊され、歯に穴が開く病気です。

歯垢1㎎中や唾液1㎖中には10⁸個の生菌が存在し、歯の表面の歯垢を完全に除去しても、ただちに細菌は歯の上に蓄積し始めます。
酸を産生する歯垢中の細菌ならばう蝕の原因菌となりうるし、歯垢中の細菌に酸を産生させる基質となる化学物質ならば虫歯の原因となるといえますが、このような化学物質は、人間の通常の生活上はショ糖といっていいです。

発掘された前史時代の歯を調べると、その数%にしか虫歯は認められない。前史時代の人類は虫歯に悩まされるようなことはほとんどなかったといって差し支えない。しかも、成人の歯(永久歯)に虫歯が認められるのであって、子どもの歯(乳歯)に虫歯が認められることはほとんどない。乳歯は生後6~7ヶ月に生え始め、数年からせいぜい10年程度で生え変わるのに対して、永久歯は6歳頃に生え始めると、生涯生え変わることはない。口の中に生えている時間が長ければ、それだけ虫歯になりやすかった時代といえる。文明が進み、17世紀から19世紀になると、数十%の人に虫歯が認められるようになる。現代の日本では、5歳児の65%が虫歯になった経験をもち、一人平均の経験した虫歯の数は3.7本である。30歳代の成人では、虫歯になったことのない人は数%以下で、一人平均13.7本の虫歯経験がある。現代では、成人でも子どもでも同じように虫歯になるが、ひどい虫歯というと、子どもでの発生が成人よりも多いような観さえある。
1960年代、カナダエスキモー(イヌイット)の2つの村が、交通の発達によって数年の間に急激に文明化され、それまでの伝統的な食生活が一変した。この間に住民一人当たりがもつ虫歯の数は1.5倍から3倍にも増加した。現代の虫歯の発生には何か「文明化された食生活」が関連しそうである。第二次世界大戦中、ヨーロッパ諸国の砂糖の生産量は年々低下し、それに伴い虫歯の罹患率も年々減少した。戦争が終了し、砂糖の生産量がもとに戻るにつれて、虫歯の罹患率ももとに戻った。1970年代前後の世界各国の砂糖の消費量と虫歯の発生を調べてみると、両者の間には正確な正の相関関係が認められた。

1960年代、オーストラリアのある町の施設に住む子供たちの虫歯の発生についての調査が行われた。この施設では、十分な量の栄養が与えられたが、砂糖やその他の精製炭水化物類は食事から除かれ、菜食主義者のような食事であった。子供達の歯の上には歯垢が付着しており、口の中はきれいな状態とはいえなかったが、ここで育てられていた子どもたちの虫歯の発生は、同年代の子どもの10分の1であった。これは、口腔清掃状態が不良であっても、食事を変えるだけで虫歯の発生を十分に抑制できることを示している。また、この施設の子どもたちがその後そこを離れ、食生活が変わると、急激に虫歯が増加した。一方、スウェーデンではどのような砂糖の摂取の仕方が虫歯の発生と密接に関連するのかが調べられた。調査の内容は、ある施設の成人が、数年間栄養的に十分な食事のもと、虫歯がゆっくりとした速度で増加することを確認した後、いろいろと種類や与え方を変えた砂糖摂取法が、虫歯の発生増加にどのように関係するか、であった。その結果、砂糖を食事中に摂取してもあまり虫歯は増加しないが、食事と食事の間に摂取すると虫歯は急激に増加し、特に歯に粘り付くような食品形態で摂取すると虫歯は飛躍的に増加することがわかった。口の中に砂糖が長い時間滞在するような食生活は、虫歯を発生させやすいことになる。間食の回数が多いほど、虫歯の発生が増加するというデータは、このことを裏づけている。
虫歯を発生させる「文明化された食生活」とは、人間がその生命を維持するために絶対必要な糖というよりも、豊かな食生活を送るために摂取する食間のショ糖である。食間のショ糖は通常の食事以外にも歯垢のpHを低下させ、さらに口腔内に停滞するような食品形態で摂取されると、長時間にわたってハイドロキシアパタイトが分解され続け、歯に穴が開く虫歯になる。




砂糖以外の甘味料

砂糖以外にも食品に甘味をつけるために使われる調味料があります。
砂糖以外の甘味料は、糖質系甘味料と非糖質系甘味料に分けられます。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は 000138203.gif です
https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.htm



これらについては、記事を分け次回の記事で、砂糖以外の甘味料のことについて学びたいと思います。



まとめ

今回、料理、お菓子、デザートなどに欠かせない砂糖と向き合い、
その原料、製造法や特徴によりさまざまな名称の砂糖が市場に出回ってる中から、
料理に最適な砂糖、料理によっての砂糖の選び方を確立すべく、砂糖の基礎知識を学びました。

さすがに、料理に欠かせないもの、さらには人間のエネルギーになるものである砂糖であって、基本情報ということだけでも、とても膨大なもので、まだまだ掘り下げられることはありますが、ある程度の基本情報は学ぶことができたと思います。
しかし、まだまだ勉強不足だとは思いますので、随時、新たな知識、有用な知識を学び次第更新していきたいと思います。

砂糖の基礎知識だけで膨大な量の記事になってしまいましたので、今回の砂糖の基礎知識の記事、次回の砂糖以外の甘味料の基礎知識の記事、そして、実際にさまざまな種類の砂糖を食べ比べながら、料理に最適な砂糖、料理によっての砂糖の選び方を確立する記事と、
砂糖についての記事は3本に分けてせまりたいと思います。



こうして、いずれ開く店への道のりが、また一歩踏み出されたのです。

河野裕輔
河野裕輔

25歩目!


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