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【砂糖の研究③】料理に最適な砂糖とは?砂糖の味比べをします!

砂糖-料理理論の研究



砂糖は料理に甘味をもたらします。
お菓子、デザートなどに砂糖は欠かせません。

太陽の光、その光を取り込んだ植物は糖を作ります。
地球上で最初に作られるエネルギー、それが糖のようです。

全世界での砂糖の年間生産量は約1億7925万tだそうです。(2019/2020年度見込み)

その中から、料理に最適な砂糖とは、料理によっての砂糖の選び方とは、どのように選べばいいのでしょうか。

まずは、砂糖そのもののことを知らなくては、どう選べばいいのかわかりません。

ということで、前々回の記事で、砂糖の基礎知識を学びました。

さらに、前回の記事で、砂糖以外の甘味料の基礎知識も学びました。



今回は、前回、前々回の記事で学んだ、砂糖の基礎知識を活かし、
理論的に、さまざまな種類の砂糖は何が違うのかを見極め、その違いが料理にどのような違いを生むのか、というのを考え、
料理に最適な砂糖、料理によっての砂糖の選び方、といったものに、実際にさまざまな種類の砂糖を食べ比べながら、せまりたいと思います。

河野裕輔
河野裕輔

甘~~~い!



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砂糖の選び方の理論

まずは、これまで学んだ砂糖の基礎知識を基に、さまざまな種類の砂糖は何が違うのかの見極めと、その違いが料理にどのような違いを生むのか、というのを考えます。

これは、以前の記事、【塩の研究②】料理に最適な塩とは?塩を食べ比べてみました!で学んだ、塩の選び方の理論と重なる部分があると思いました。


こちらの記事で塩は、

塩の品質は粒度、粒度分布、粒形、かさ密度などの物理的性質化学組成によって分けられます。

と、学びました。

これは砂糖にも同じことが言え、砂糖に置き換えると、

砂糖

の品質は粒度、粒度分布、粒形、かさ密度などの物理的性質化学組成によって分けられます。

と、なると思います。



砂糖の物理的性質が砂糖の品質に及ぼす影響

砂糖の物理的性質が砂糖の品質・性質・特徴に及ぼす影響について、以前の記事、【塩の研究②】料理に最適な塩とは?塩を食べ比べてみました!で学んだ、塩の物理的性質が塩の品質に及ぼす影響と重なると思います。

この記事で、塩の物理的性質が塩の品質に及ぼす影響の具体例として、以下のことを述べています。

例えば、塩を水に溶かす場合、粒径が小さければ、すぐ溶けてしまいますが、大きいとなかなか溶けません。また、スナック菓子に塩をまぶして付けようとすると、小さな粒の塩でないとお菓子には付きません。しかし、同じ付ける塩でもクラッカーとかプレッツェルにつける塩は大粒の塩でなければなりません。塩粒をカチッとかみ砕く感触と、口の中で塩味が混ざって広がっていく感触を楽しむお菓子であるからです。

以上の事をまとめて、砂糖に置き換えますと、砂糖の物理的性質が砂糖の品質・性質・特徴に及ぼす影響は、

砂糖の物理的性質が砂糖の品質に及ぼす影響

・小さい粒
溶けやすい。付着性が高い。味の余韻が短い。口の中でスッと溶ける。

・大きい粒
溶けにくい。付着性が低い。味の余韻が長い。カチッと歯応えがある。

と、言えます。



砂糖の化学組成が砂糖の品質に及ぼす影響

砂糖の化学組成が砂糖の品質・性質・特徴に及ぼす影響について、まず、砂糖の原料が違えば、その砂糖の化学組成が違ってきますので、砂糖の品質に大きく影響を及ぼすと考えられます。

代表的な砂糖の原料としては、甘蔗(サトウキビ)、甜菜(サトウダイコン、ビート)、サトウカエデサトウヤシサトウモロコシなどがあります。
これら砂糖の原材料を、糖蜜を分離せずにそのまま結晶化した含蜜糖では、それぞれの原材料の特徴が現れます。

含蜜糖(がんみつとう)

含蜜糖は糖蜜を分離せずにそのまま結晶化したもので、黒砂糖・白下糖・カソナード(赤砂糖)・和三盆・ソルガム糖、メープルシュガーなどがこれに当たる。糖蜜を分離していないため原料本来の風味が残るのが特徴である。ほとんどの精糖原料から作ることができるが、テンサイから砂糖を作る場合は高度な精製が必要なため、含蜜糖の製造は一般的ではない(不可能という訳ではない)。



砂糖は原料の違いの他に、同じ原料、多くは甘蔗(サトウキビ)でもその製造法の違いによって、さまざまな種類に分けられます。
その製造法の違いが、砂糖の化学組成に違いを生んでいます。

これは、前々回の記事、【砂糖の研究①】料理に最適な砂糖とは?砂糖の基礎知識を学びます!で、「砂糖の成分」を学びましたので、これを振り返ります。

 この記事で、砂糖の成分、栄養成分、化学組成といったものを、文部科学省のサイトで、「日本食品標準成分表」として公表されてる、砂糖の成分表をみてみました。
全ての砂糖の主な成分は炭水化物で、黒砂糖や和三盆糖といった含蜜糖には、ミネラル成分も含まれています。
双目糖、車糖、加工糖といった分蜜糖では、三温糖に極僅かなミネラル成分が含まれていますが、100g当たり98.7~100gを炭水化物が占めています。
液糖は、100g当たり70~79.3gが炭水化物となっていますが、それ以外の成分が水分となっています。

まず、ここで、ミネラルが含まれる砂糖と含まれない砂糖に分けられます。
ミネラルとは、栄養学上、食品成分中の無機質をいい、人体に必要なものは、カルシウム、鉄、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、塩素、ヨウ素などで、いずれも微量であるが生理学的意味は大きいものです。
このミネラルが、砂糖の味にどのような影響を与えるのかというのが、砂糖の化学組成が砂糖の品質に及ぼす影響のひとつだと考えられます。

ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムといった成分が、どのような味がするのかというのは、以前の記事、【水の研究】料理に最適な水とは?ミネラルウォーターを飲み比べてみました!や、【塩の研究②】料理に最適な塩とは?塩を食べ比べてみました! で学びましたので、これを振り返ります。


水や塩の化学成分が水や塩の品質に及ぼす影響

カルシウム
苦味と塩味の混ざったほのかなえぐ味が特徴。含有量が多いと重さを感じさせるが、適量であれば甘さを感じさせる。渋味の成分と結びつきやすく、渋味や苦味のある食材と合わせるとまろやかな味に仕上がる。

マグネシウム
強い苦味が特徴だが、少量ならば甘味となって表れる。多く含まれれば重さを感じられる。

ナトリウム
強い塩味が特徴。

カリウム
酸味が特徴だが、多いと塩味や苦味となる。にがりの成分でもあるため海洋深層水には含まれることが多い。

サルフェート
硫酸塩という硫黄に近い成分で、日本では温泉水に多く含まれている。マグネシウム同様、苦味として味に影響がある。

これらと同じ成分が含まれている砂糖は、水や塩と同様に味に影響を及ぼすと考えられます。
ミネラルが比較的含まれている砂糖というのは、単純な甘味だけでなく、カルシウムやマグネシウムやカリウムなど、苦味や酸味が特徴の成分により、その甘味にまろやかさや奥深さといった印象を与えると考えられます。



さらに、砂糖の主な成分である炭水化物、砂糖には食物繊維が含まれていないので、砂糖の炭水化物のそのほぼ全てが糖質なのですが、その糖をさらに細かく分類すると、砂糖の種類によってその糖の成分が異なっていることを【砂糖の研究①】料理に最適な砂糖とは?砂糖の基礎知識を学びます!で学びました。
そして、その糖の種類によっても、砂糖の味に影響を及ぼすことも学びましたので、これを振り返ります。

砂糖は、物質としては糖の結晶で、一般に多用される白砂糖の主成分はスクロース(蔗糖)で、これはグルコース(葡萄糖)とフルクトース(果糖)の両方で構成されています。

下に示した砂糖の成分表をご覧下さい。
一番左に書かれている「蔗糖」が砂糖の甘味成分に当たるものです。次にある「転化糖」とは、蔗糖の加水分解によってできた葡萄糖と果糖のことで、「灰分」はいわゆるミネラル分です。
黒砂糖を除けば、どの砂糖も蔗糖分は95%を超えていますが、中でも、白双糖とグラニュー糖の蔗糖分がほぼ100%に近いことが分かります。つまり、白双糖やグラニュー糖は「純度が高い」、「高純度である」ということになるわけです。逆に、上白糖や三温糖は蔗糖分がやや低いことが分かります。


 蔗糖 転化糖 灰分 水分 色 
白双糖99.950.010.010.01白 色
中双糖99.700.050.030.03黄褐色
グラニュー糖99.950.010.010.02白 色
上 白 糖97.801.300.020.80白 色
三 温 糖95.402.100.221.20黄褐色
角 砂 糖99.800.010.010.15白 色
氷 砂 糖99.800.060.010.06白 色
粉 砂 糖99.800.020.010.02白 色
顆粒状糖99.800.010.020.02白 色
原 料 糖97.700.700.450.50黄褐色
黒 砂 糖75~862.0~7.01.3~1.65.0~8.0黒褐色

砂糖においても、グラニュー糖や白双糖のように純度の高いものは蔗糖そのものの甘味ですが、転化糖は、蔗糖より少し甘味が強いと言われていますし、蔗糖が熱分解することにより生じる着色物質(いわゆるカラメル)は、それそのものが甘い風味を呈します。また、少量の無機質分が含まれている場合、それが刺激となって甘さが強まります。
家庭で最もポピュラーな上白糖は、独特のしっとりした感じを持たせるために、蔗糖の結晶に濃厚な転化糖液(ビスコ)を少量ふりかけてあります。また、三温糖は上白糖同様に転化糖液をふりかけてある上に、カラメルによる甘い風味も有しています。ですから、グラニュー糖より、感じる甘さとしては強く感じられます。
黒砂糖は純度が低く、蔗糖分は他の砂糖に比べて少ないですが、転化糖や無機質等の非糖分が多いため、コクのある強い甘味を有しています。



さらに、【砂糖の研究①】料理に最適な砂糖とは?砂糖の基礎知識を学びます!で、「糖類の甘味度」を学びました。
糖の種類や温度や分子構造やヒトの感覚が甘味度に影響を及ぼすので、これも砂糖の味に影響を及ぼすものなので、これを振り返ります。

甘味料の甘味の強さを評価したものを 「甘味度 (かんみど)」 といいます。
一般的には、純蔗糖 (砂糖) 溶液と比較した値で表わされます。
この評価は、パネラー (被験者) による 「官能検査」 により、甘味を感じる最小の濃度 (閾値) の比較、または一定濃度の蔗糖溶液 (例えば10%溶液) と同じ甘味の強さを示す被験甘味料の濃度の比較で行われます。
検査時の条件の違いにより甘味度の値には幅が出てきますので各種条件の設定には充分な注意が必要です。
蔗糖を1.00とした場合の主な甘味料の甘味度は、以下の表の通りです。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は kanmiryo_hyo.jpg です

温度が甘味度に及ぼす影響

糖類の甘味度は、温度の影響で変化します。
温度に対する甘味度の変化をショ糖100として示すと、フルクトース(果糖)は低い温度で甘味を強く感じるが、温度の上昇とともに甘味度は急激に減少します。
一方、グルコース(葡萄糖)、マルトース(麦芽糖)、ガラクトース(脳糖)などもフルクトースほどではないが、高い温度ほど甘味料は減少します。

分子構造が甘味度に及ぼす影響

ブドウ糖と果糖は、分子構造上、α型とβ型というものがあり (異性体という)、実は、この構造の違いによって甘さも違います。
ブドウ糖の場合、α型の方がβ型より甘く、その強さは約1.5倍と言われています。逆に、果糖の場合は、β型の方がα型より甘く、その強さは約3倍と言われています。
この両型の比率は、水溶液中でゆっくりと変化し、それに応じて甘味も変化します。特に、果糖は温度による影響を受け、低温ではβ型だったものが、高温ではα型になり、甘味も減少します。
砂糖 (ショ糖) は、ブドウ糖と果糖が1分子ずつ結合したものであるので、この中でも甘味の強いα-ブドウ糖とβ-果糖の分子が結合することにより、甘味も強く、また、両分子が結合することにより、ブドウ糖や果糖のような異性体はできず、温度による甘味の変化もなくなります。このことが、砂糖が安定した甘味を持ち、調理や菓子作りに適している、という理由なのです。
また、糖は二糖類、三糖類、四糖類…と単糖類の結合数が増えるにつれて甘味が減少します。デンプンなどの多糖類になると、甘味はなくなるのです。

ヒトの感覚が甘味度に及ぼす影響

甘味物質を口に含んだとき、ただちに甘さを感じる物質や徐々に甘さが増す物質、また口に含むや否や甘さを感じ、すぐに消えてしまう物質、なかなか甘さが消えない物質など種々あり、甘味に対するヒトの感受性は甘味物質により異なります。
ショ糖、果糖、ブドウ糖における甘味に対するヒトの感受性を見ると、甘味の発現は果糖が最初であり、甘味の消失も3種の糖類の中で果糖が最も速く、反対にブドウ糖は、3種の糖類の中で甘味の発現、あるいは消失も最も遅く、ショ糖はその中間にあります。



砂糖の選び方の理論のまとめ

では、これまでの考えをまとめ、料理によっての砂糖の選び方の理論をまとめていきます。

砂糖の品質は粒度、粒度分布、粒形、かさ密度などの物理的性質化学組成によって分けられます。

砂糖の物理的性質が砂糖の品質に及ぼす影響

・小さい粒
溶けやすい。付着性が高い。味の余韻が短い。口の中でスッと溶ける。

・大きい粒
溶けにくい。付着性が低い。味の余韻が長い。カチッと歯応えがある。

砂糖の化学成分が砂糖の品質に及ぼす影響

カルシウム
苦味と塩味の混ざったほのかなえぐ味が特徴。含有量が多いと重さを感じさせるが、適量であれば甘さを感じさせる。渋味の成分と結びつきやすく、渋味や苦味のある食材と合わせるとまろやかな味に仕上がる。

マグネシウム
強い苦味が特徴だが、少量ならば甘味となって表れる。多く含まれれば重さを感じられる。

ナトリウム
強い塩味が特徴。

カリウム
酸味が特徴だが、多いと塩味や苦味となる。

糖の化学成分が砂糖の品質に及ぼす影響

蔗糖(スクロース)
甘味度1.00。

葡萄糖(グルコース)
甘味度0.60~0.70。
蔗糖に比べ、果糖ほどではないが高い温度ほど甘味度は減少する。
葡萄糖は、分子構造上、α型とβ型というものがあり (異性体という)、α型の方がβ型より甘く、その強さは約1.5倍と言われている。この両型の比率は、水溶液中でゆっくりと変化し、それに応じて甘味も変化する。
蔗糖に比べ、甘味の発現は遅く、甘味の消失も遅い。

果糖(フルクトース)
甘味度1.20~1.50。
蔗糖に比べ、低い温度で甘味を強く感じるが、温度の上昇とともに甘味度は急激に減少する。
果糖は、分子構造上、α型とβ型というものがあり (異性体という)、β型の方がα型より甘く、その強さは約3倍と言われている。この両型の比率は、水溶液中でゆっくりと変化し、それに応じて甘味も変化し、低温ではβ型だったものが、高温ではα型になり、甘味も減少する。
蔗糖に比べ、甘味の発現は速く、甘味の消失も速い。

麦芽糖(マルトース)
甘味度0.35~0.40。
蔗糖に比べ、果糖ほどではないが高い温度ほど甘味度は減少する。
蔗糖に比べ、メイラード反応を起こしにくく、結晶化しにくい。



砂糖を食べ比べる

これまでで、料理によっての砂糖の選び方の理論はまとまりました。
次に、実際にさまざまな砂糖を食べ比べ、味を確認し、その味と、今までに学んだ理論を基に、どんな料理にどの砂糖を選べばいいのかというものを考えたいと思います。

こちらが、今回用意し揃えた砂糖と甘味料です。
なるべく違った特徴を持ち、かつ手に入りやすいもので揃えてみました。

砂糖

画像左下から右へ順に説明していきます。

まず、原材料別の砂糖として、含蜜糖である黒糖メープルシュガーココナッツシュガー
そして、原材料別ではあるが、分蜜糖で耕地白糖に分類されるてんさい糖
さらに、日本の伝統的な砂糖である和三盆糖
和三盆の原料となるサトウキビは、地元産の在来品種「竹糖(ちくとう・たけとう)」という品種が用いられ、地元では細黍(ほそきび)と呼ばれる温帯での生育に適した竹糖は、イネ科「シネンセ種」に属し、熱帯地方で一般的に栽培されるサトウキビのオフィシナルム種とは異なる栽培種であります。
次に、赤糖として、玉砂糖カソナード素焚糖すだきとうきび砂糖
赤糖は、精製糖と比較して精製を抑えており、さとうきびの味と独特の甘味を残している、一方、原材料である粗糖と糖蜜などの配合を調整することや、産地や原材料の種類などの組み合わせによってさまざまな特徴を出すことができるので、この赤糖が様々な名称で数多く市場に出回っている印象を受けました。そんな赤糖の中でも手に入りやすく、特徴的な物であるこの4種を比べてみます。
最後に、砂糖以外の甘味料として果糖葡萄糖米水飴を用意しました。
砂糖以外の甘味料は、他にも蜂蜜や天然甘味料等いろいろありますが、蜂蜜は、蜜源植物によって味や色が様々にあることもあり、ステビアや甘草や羅漢果等の天然甘味料等とともに、また別の機会で向き合いたいと思います。

これらに加え、精製糖である、グラニュー糖白双糖中双糖上白糖三温糖等とも比較し、料理によっての砂糖の選び方にせまりたいと思います。



黒糖
産地 沖縄県波照間島
原材料 さとうきび
種類 含蜜糖



メープルシュガー
産地 カナダ、ケベック州
原材料 メープルシロップ
種類 含蜜糖



ココナッツシュガー
産地 インドネシア
原材料 ココヤシ花序液
種類 含蜜糖



てんさい糖
産地 北海道
原材料 てん菜
種類 耕地白糖



和三盆糖
産地 徳島県
原材料 サトウキビ(竹糖)
種類 和三盆糖



玉砂糖
産地 東京都
原材料 粗糖、糖蜜
種類 赤糖
大正時代頃より、インドネシア南方の島々より現地で機械化の設備のない島民が、サトウキビの搾り汁をそのまま釜で煮つめ平たい桶に入れ、ヘラでもんで自然に乾燥させて造った含蜜糖が輸入されました。この砂糖は乾燥過程で出来る蜜玉(直径1㎝位)が多く入っていたので玉砂糖と呼ばれてその風味を愛好されていましたが、現地で製造管理が粗雑で異物が多く入っていたので、日本国内で粗糖に糖蜜を加え釜で煮つめて成分的に同じ様に玉砂糖 を造って販売しました。輸入した玉砂糖に対して国内で作ったものは人工的に造ったとして、人造玉砂糖と区別して人玉(業界内での呼び名)と呼ばれるようになりました。



カソナード
産地 フランス
原材料 サトウキビ糖
種類 赤糖
カソナード [cassonade] [(仏)sucre casson] ブラウンシュガーの一種で、熟したサトウキビの茎を圧縮して汁を絞り、蒸発させて結晶化したももの。カソナードはお菓子作りのほかに、クレームブリュレの表面でカリカリになっているカラメルとしての用途が有名。



素焚糖すだきとう
産地 沖縄県奄美諸島
原材料 原料糖
種類 赤糖
素焚糖(すだきとう)は奄美諸島産さとうきび原料のミネラルと風味を、 素のままじっくり丁寧に焚きあげたお砂糖です。



きび砂糖
産地 ?
原材料 原料糖
種類 赤糖
きび砂糖は精製途中の砂糖液を、そのまま煮詰めて作ります。そのため、さとうきびの風味とミネラルが活きています。



米水飴
産地 日本
原材料 米、大麦麦芽
種類 糖質系甘味料、デンプン由来の糖
米を麦芽で糖化させるという伝統的な製法で作られた貴重な水飴です。主成分は麦芽糖(マルトース)。



果糖
産地 フィンランド
原材料 砂糖(てんさい糖)
種類 糖質系甘味料、デンプン由来の糖



ぶどう糖
産地 日本
原材料 ぶどう糖(でんぷん)(とうもろこし、馬鈴薯、甘露)
種類 糖質系甘味料、デンプン由来の糖



では、これらの砂糖を食べて味を比べた感想を述べていきます。
味の感想に関しては、完全に私の主観になります。

まず、含蜜糖で原材料の違う黒糖メープルシュガーココナッツシュガーは、やはりそれぞれクセがあり、その原材料の特徴が色濃く出ています。
黒糖は、まろやかな甘味に加え、ほろ苦さやほのかな塩味を感じコクのある味わいとともに、黒糖独特の香りで、まさに個性的な砂糖だと思いました。
メープルシュガーは、やはりまろやかな甘味に加え、黒糖ほどではありませんが僅かなほろ苦さとともにコクを感じさせ、メープル独特の豊潤な香りで個性を感じさせました。
ココナッツシュガーは、クセはさほどなく、まろやかな甘味でコクがあり、香りはココナッツというよりも、キャラメルのような香りがし個性を感じさせました。
てんさい糖は、耕地白糖で分蜜糖に分類されますので、含蜜糖に比べ甘味をストレートに感じさせますが、それでも甘味はまろやかさを感じ、てんさい糖特有のクセというものはあまり感じられませんので、凡庸性がある砂糖だと思いました。
和三盆糖は、甘味がとてもまろやかで上品な印象を感じさせ、コクがありながらも、クセはそれほど強くなく、味的には凡庸性がある砂糖だと思いました。
玉砂糖カソナード素焚糖きび砂糖は、どれも赤糖に分類されます。
この中でも玉砂糖は、黒糖にほぼ近く、黒糖のクセを多少抑えた砂糖という印象で、かなり赤糖の中でも個性を感じさせました。
カソナード、素焚糖きび砂糖は、それぞれ含蜜糖に比べ甘味をストレートに感じさせますが、それでも精製糖よりは甘味をまろやかに感じ、クセもあまり感じられませんので、凡庸性のある砂糖だと思いました。この3種の違いは香りにあり、カソナードはキャラメルのような香りが強く、素焚糖、きび砂糖は黒糖ほどではないものの黒糖特有の香りを感じさせました。
米水飴は、その形状から舌にまとわりつくので、そのまま食べると甘味を感じやすいですが、味でいうとまろやかな甘味です。
果糖は、これまでの蔗糖とは違う甘味を感じ、どこか清涼感のある甘味を感じさせました。
ぶどう糖は、いわゆるお菓子のラムネの味です。



以上が、砂糖の味の違いの感想です。
では、この味の違いを、どのように料理に使い分ければいいのでしょうか。
これに関しての私の見解を述べていきます。

まず、含蜜糖で原材料の違う黒糖メープルシュガーココナッツシュガーと、赤糖の中でも個性的である玉砂糖は、料理に使うとその個性を強く主張させてくるので、その強い個性を生かした料理に使うのが最適だと思います。
てんさい糖和三盆糖カソナード素焚糖きび砂糖は、どれもそこまでクセがなく凡庸性があるので、正直料理に甘味を付けるのであれば、料理に砂糖の茶色が付いてもいい場合は、精製糖を使うよりも、甘味がまろやかでコクがあるので、これらの砂糖を使う方がいいのではと思いました。
しかし、これらの中でもてんさい糖は他の4種よりも精製された甘味のイメージがあります。ですが、てんさい糖は原材料が甜菜と、多く出回る甘蔗(サトウキビ)の砂糖とは違うので、個性を出せるのは間違いないです。
和三盆糖は、他の4種よりも甘味がとてもまろやかで上品です。香りもカソナード、素焚糖、きび砂糖よりも穏やかな印象を受けました。ただ値段はどの砂糖よりも高くなります。
では、カソナード素焚糖きび砂糖ではどれがいいかというと、
カソナードは、そのキャラメルのような香りを生かし、やはりカソナードでよく使われる、お菓子作りの他に、クレームブリュレの表面でカリカリになっているカラメルとしての用途が最適だと思いました。
素焚糖きび砂糖は、味にさほど違いはなく、それぞれのメーカーのサイトを見てみても製法や原材料はほぼ同じのように思いました。ただ原材料の原産地は、素焚糖は沖縄県奄美諸島と謳っているのに対し、きび砂糖には原産地の記載がなく、きび砂糖の上位種であるプレミアムきび砂糖には、「沖縄産原料100%」と謳っているので、ここに違いがあるのかもしれません。
米水飴は、水飴の結晶化しにくいという性質を生かした使い方がやはり最適だと思います。糖分濃度の高い食品に添加することで、滑らかな口当たりを保つ事が出来たり、和菓子のつや出しや、保湿目的で使われることもあります。

果糖は、砂糖の代わりに使えなくもないですが、「果糖は太りやすい」という意見もあるようです。

果糖はほぼそのまま肝臓に入ってくるまでに酵素による調節を受けないで、解糖系(エネルギー生産回路)に入ってしまいます。
その為、ATPが体にたくさんあってもどんどんエネルギーを作り出してしまうため余ったエネルギーが中性脂肪になってしまうのです。
また肝臓での代謝か主なため筋グリコーゲンを増やすことはできない。
さらに、果糖は脂肪合成に関わる酵素の活性を高め、また肝臓での働きが大きいため、脂肪肝になりやすくなります。


しかし、果糖は梅酒作りの際に入れると、蔗糖の砂糖を使ったものに比べ、梅の実がシワシワになりにくいようです。

梅酒作りに砂糖を入れる理由は砂糖の浸透圧で梅の実から梅肉エキスを抽出させるため。「果糖」は、この浸透圧が他のお砂糖に比べて2倍も高く、それだけ早くエキスを抽出できます。そのため、梅の実がシワシワになりにくいのも特徴です。

ぶどう糖は、砂糖の代わりに使えなくもないですが、主な使用例としては薬の一面があるようです。

糖尿病の患者さんは、血糖値を下げるお薬を服用もしくは注射します。しかし、体調によっては薬が効きすぎることがあり、急激な低血糖状態を起こすことがあります。高血糖で急激な意識低下はまれですが、急激な血糖値の低下はすぐに意識を失います。なので、万が一の発作が起きた場合、数分で血糖値が回復できるようするために、ブドウ糖を毎日持ち歩く必要があります。
あめ玉の成分は、ブドウ糖ではなく、ショ糖や麦芽糖などの二糖類です。これらは、そのままでは吸収できず、体内でブドウ糖に分解を受ける必要がありますので、吸収までに時間がかかります。この時間差が、生死を分ける場合もありますので、かならずブドウ糖を所持してください。
確かにあめ玉でも、重度な低血糖でない場合、体内に摂取後に分解を受けてブドウ糖になりますので、ある程度時間に余裕があれば有効です。また、ある程度低血糖症状を経験している人は前兆がわかるので、あめ玉でも代用はできるんだと思います。
しかし、手の震え(運動障害)や意識喪失が近いと考えられる重度の低血糖には、全く間に合いません。


他にも、体の増量の目的で摂取する使用例もありますが、ぶどう糖は、胃もたれや下痢を引き起こしてしまうリスクがあるようです。

https://kinntore-hosomaccho.com/ブドウ糖とマルトデキストリン%ef%bc%88粉飴%ef%bc%89の違いっ



では、精製糖である、グラニュー糖白双糖中双糖上白糖三温糖等は、どのように料理に使い分ければいいのでしょうか。
これに関しての私の見解を述べていきます。

まず、先程述べたように、正直料理に甘味を付けるのであれば、料理に砂糖の茶色が付いてもいい場合は、精製糖を使うよりも、甘味がまろやかでコクがあるので、素焚糖きび砂糖といった赤糖を使う方が良いと思います。
では、精製糖を使う理由としては、料理に色を付けたくないときが挙げられますが、その精製糖の中ではどのように使い分ければいいのかというと、グラニュー糖白双糖中双糖らの双目糖は、蔗糖がほぼ100%に比べ、上白糖三温糖らの車糖は、転化糖の割合が多くなっていることから、感じる甘さとしては強く感じられます。
この上白糖や三温糖の、感じる甘さが強く感じられることは、時として甘さをくどく感じてしまう場合があります。
私の経験上、クッキーなどのお菓子に上白糖を使うと、グラニュー糖を使ったクッキーに比べ、甘さが口に残ってしまう感じがしてしまいます。
ですので、私としては、精製糖を料理に使うときは、上白糖は使わずにグラニュー糖を使い、粒が大きい白双糖や中双糖などは、その粒を残し歯応えを出すときなどに使うことが想定されます。



砂糖の選び方のまとめ

以上の考えをまとめて、砂糖と料理の組み合わせ方をまとめていきます。

砂糖と料理の組み合わせ方

・黒糖、メープルシュガー等の含蜜糖
その原材料の個性を生かした料理。

・和三盆糖
上品な甘味、香りを生かした料理。

・クセがない赤糖
クセがなく甘味がまろやかでコクがあるので、料理に砂糖の茶色が付いてもいい場合は、料理全般。

・水飴
水飴の結晶化しにくいという性質を生かした使い方。
糖分濃度の高い食品に添加することで、滑らかな口当たりを保つ。和菓子のつや出しや、保湿目的等。

・グラニュー糖
色を付けたくない料理。

・粒が大きい砂糖
塩を主張させる使い方。

・粒が小さい砂糖
素材に馴染ませる使い方。



以上にまとめましたが、正直こんな言葉数で現わせられるような簡単なものではないように思います。
私自身も、まだ料理に合わせた砂糖の使い方、砂糖と料理の組み合わせ方といったものに、明確な基準ができたわけではありません。
砂糖以外の甘味料は、他にも蜂蜜や天然甘味料等があり、それらを含めると、料理に甘味を付ける調味料に、まだまだ迫り切れていない部分が多々あります。
以上にまとめたものは、ある一定の目安としてとらえて頂ければ幸いです。

河野裕輔
河野裕輔

甘くな~~~い!



まとめ

前々回、前回、今回の記事で、料理に甘味をもたらし、お菓子、デザート等には欠かせない砂糖と向き合い、その原料、製造法や特徴により様々な名称の砂糖が市場に出回っている中から、料理に最適な砂糖を選ぶべく、まずは砂糖そのもののことを知らなくてはと思い、砂糖の基礎知識を学び、その学んだ、砂糖、砂糖以外の甘味料の基礎知識を活かし、理論的に様々な砂糖は何が違うのかを見極め、その違いが料理にどのような違いを生むのかというのを考え、料理に最適な砂糖、料理によっての砂糖の選び方、といったものに実際に様々な種類の砂糖を食べ比べながら、迫りました。

迫りましたといいましたが、まだ全ての砂糖を扱ったわけではないですし、砂糖以外の甘味料の蜂蜜や天然甘味料等もあるので、まだまだ砂糖に迫り切れていないという思いが正直なところです。
蜂蜜はそれだけでも、蜜源植物によって味や色が様々にあることもあり奥が深そうで興味深い甘味料です。
天然甘味料も、料理に使えば個性が出るのは間違いないでしょう。
これらもいずれ向き合いたいと思います。

まだ、自分自身に、料理に合わせた砂糖の使い方、砂糖と料理の組み合わせ方といったものに明確な基準ができたわけではありません。
ただ、ある一定の目安には辿り着いたかなとも思います。
しかし、そのある一定の目安も、あくまで目安として捉え、その使い方の目安の真逆の使い方も試しながら、さらに砂糖と向き合っていこうと思います。

今後、さらに砂糖と向き合い、より真相にせまった砂糖の選び方がまとまれば、新たに記事にしていきたいと思います。



こうして、いずれ開く店への道のりが、また一歩踏み出されたのです。

河野裕輔
河野裕輔

27歩目!


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